同窓会が実は有望なビジネスになっていた 急成長する「幹事代行サービス」の裏側

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恩師との再会も同窓会の醍醐味

サービス内容は提供企業によって微妙に異なるが、基本的には会場の手配、案内状の作成・発送、参加者名簿やネームプレートの作成、当日の受付、司会進行、会費の精算などの代行だ。

同窓生が参加できる専用ホームページを作成したり、転居で行方が分からなくなっている同窓生を探す手伝いをしたり、などといったサービスもある。

笑屋の八木取締役によれば、「幹事代行サービスの利用者は40代前半が多いが、50~60代も増えてきている。成人式のときに同窓会を開く若者からの依頼も意外に多い。同窓会1回当たりの開催費は80万~100万円で、代行の手数料分が収益になる」。

驚くのは場合によっては、特定の同窓会の開催について企業がスポンサーとして協賛したり、その企業が割安なサービスを提供したりする例もあることだ。その分、参加者の会費が下がることもある。

企業のスポンサーが付くケースも

スポンサーになる企業はさまざまだが、具体的には楽天や学研エデュケーション、ECC、タクシー会社などだという。同窓会は参加者の学力レベルや出身・居住地などがある程度、特定できるため、効率的なプロモーションが可能になる。楽天の場合は電子書籍のコボ(kobo)をアピール。タクシー会社が自社の運転手を募集するために協賛したケースもあるという。

割安なサービスを提供する企業では、美容室やエステ、ネイルサロンなどの運営会社が挙げられる。知人・友人と久しぶりに会うために、ちょっとしたお洒落におカネを使おうとするニーズを取り込めるワケだ。地方自治体が地域活性化や雇用創出を狙って、同窓会の幹事代行サービス企業へ連携を打診することも、珍しくないという。

一昔前はかつての仲間が集まるだけのイベントだった同窓会が、インターネットの発展によるコミュニケーションの変化を経て、実は有望なビジネスになっていた。人はネットでのつながりというバーチャルな世界だけで完結せず、同窓会のようなリアルな場を求めることがミソだ。大げさかもしれないが、テクノロジーの急速な進化が既存の枠組みを変えつつある、一つの証左でもある。

武政 秀明
たけまさ ひであき / Hideaki Takemasa

1998年関西大学総合情報学部卒。国産大手自動車系ディーラーのセールスマン、新聞記者を経て、2005年東洋経済新報社に入社。2010年4月から東洋経済オンライン編集部。東洋経済オンライン副編集長を経て、2018年12月から東洋経済オンライン編集長。2020年5月、過去最高となる月間3億0457万PVを記録。2020年10月から2023年3月まで東洋経済オンライン編集部長。趣味はランニング。フルマラソンのベストタイムは2時間49分11秒(2012年勝田全国マラソン)。

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