最大級のメガソーラーが目指す「地方創生」 くにうみアセット・山崎養世社長に聞く
運転開始後は年間収入約100億円を想定
――総事業費1100億円という巨大プロジェクトの収支見通しは。
もちろん厳しい事業採算チェックをクリアしており、(FIT買取期間中の)20年間に充分な収益が上がっていく計画だ。FITは初年度の買い取り価格42円(税抜きで40円)で認可取得しており、19年に運転開始すれば年間収入は約100億円となる。そこから税金や土地の賃料、借入金の元利金などを支出していく。19年までの建設期間は収入ゼロだが、それだけのリスクをとれるのは事業の連合体がGEなど信用力の高い企業ばかりだからだ。
FITの買取期間が終わる運転開始20年後には、設備をリニューアルする。そのときには今よりはるかに安いコストで太陽光パネルを導入できるはずだ。石油や天然ガスなどの発電所よりも安い電気を供給できるだろう。そうして100年後にも瀬戸内市に発電所が存在するようにしたいと考えている。
太陽光に偏らないバランスが重要
――FITの買い取り額が比較的高い太陽光発電に参入希望者が9割以上も集中し、電気料金が高騰することには反発も強いが。
それについては一理も二理もある。ただ、われわれ(くにうみアセットマネジメント)は風力発電や木質バイオマス発電、地熱発電にも取り組んでいる。再エネにもベストミックスがある。たとえば木質バイオマスは、地元経済への貢献度が最も大きい。これまで捨てられていた大量の木を活用できる。中山間地の荒れた山林が再生され、多くの雇用が生まれる。そのうえ電気ができて、しかも一種の火力発電なので稼働率が高い。
また、世界有数の火山国であるのに、日本はこれまで地熱をほとんど生かしてこなかった。風力にしても、北海道や東北地方は風が比較的強いが、まだ十分に生かされていない。これらも太陽光発電より稼働率は高い。太陽光と他の再エネとのバランスをとることが重要だ。その意味で、太陽光だけ突出しているのを抑えたり、太陽光の中で選抜したりしようとする考え方には大賛成だ。できもしない事業計画を立てて放置するような無責任な事業者は排除してもらいたい。
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