資源開発では地政学リスクの管理が重要だ 石油メジャー首脳が語る、エネルギー市場の今
探鉱収益悪化の2つのパターン
――住友商事が米国シェールオイル開発の減損損失で約1700億円を計上するなど、日本企業のシェール事業の損失事例が増えているが、どう見るか。
過去15カ月の間に、米国ではシェールガスに関連した企業の損失事例が増えているが、シェールオイル関連はあまりなかった。現在、米国における天然ガス価格(ヘンリーハブ価格)は100万BTU(英国熱量単位)当たり4ドル程度で、シェールガス開発にあまり適さない低水準にある。価格が5ドルを上回れば、利益が出るようになるだろう。一方、シェールオイル開発では随伴ガスがほとんど無コストで発生するため、利益が出やすい状況が続いてきた。
探鉱の収益性悪化には主に2つの理由がある。1つには、当初期待していたほど十分な資源量がなかったというケース。これはシェールガス、シェールオイルのような非在来型資源だけでなく、在来型資源にも起こりうる。
たとえば、ポーランドでは3年前、膨大なシェールガスの資源量があると誰もが考えていた。当社を含め大小数多くの企業が同国内で採掘を試みたが、その結果は落胆すべきものだった。それと同様のことを、住友商事が米国で経験しているということだろう。
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