資源開発では地政学リスクの管理が重要だ

石油メジャー首脳が語る、エネルギー市場の今

一方、アジアでは天然ガス需要の高水準が今後も続く。欧州の需要は全体景気などに左右されるが、LNGの輸入ではアジアとの主要な競合相手となる。そのため、アジアと欧州におけるガス価格は、輸送コストの違いを除いて似たような動きを示すだろう。長期的には、世界は「米国」と「アジア・欧州」という2つの市場に分かれると見られる。

需要の増大と新規供給のコストによって、アジアと欧州のガス価格は米国と同じような低水準にはならない。米国からガスが輸出されたとしても、日本向けでは液化コストや輸送コストによって、ヘンリーハブより最低6ドルは高くなる。

欧州は米国に比較的近い分、輸送コストは若干安い。米国からの欧州向け輸出は16年3月までに始まるが、ヘンリーハブが現状と同じ4ドル程度なら、欧州の輸入価格は10ドル近辺となるだろう。現状、欧州主要指標のNBP(ナショナル・バランシング・ポイント=英国内の先物価格)は約8ドルなので、それよりも高いことになる。

そのため、アジアと欧州のガス価格は相対的に高い状態が続く。ただ、LNGには環境への影響や発電における調整力などさまざまな長所があり、世界的なLNG需要は年率5%の高成長が続くとみている。これは天然ガス全般の需要の年率2~2.5%を上回る。

地政学リスクの管理がより重要に

――中東やロシア・ウクライナ情勢などの地政学リスクが資源開発に与える影響はどうか。

確かに地政学リスクは高まっており、資源開発やビジネスに影響を及ぼしている。中東情勢不安定化のインパクトは、ロシア・ウクライナ情勢のそれとは異なる。

中東において、当社はイラク国内でペトロチャイナ(中国石油天然気)主導のコンソーシアムに参加している。イラクの情勢は非常に不安定化しているが、われわれが生産しているイラク南部では現状、まったく影響を受けていない。

しかし、リビアでは生産面で影響を受けている。また、当社の主な投資先の1つであるイエメンでも業務を一部縮小している。

一方、ロシアは日本、欧州に対する石油・ガスの主要サプライヤーでもあるが、トタルにとっても重要だ。当社はロシアにおいて主に3つの権益を有する。1つは(ロシア極北の)カリヤガ石油開発だが、これはそれほど規模が大きくない。より重要なのは、(ガスプロムに次ぎロシア2位の天然ガス大手)ノバテクへの資本参加で、当社は株式の18%を保有する。

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