資源開発では地政学リスクの管理が重要だ 石油メジャー首脳が語る、エネルギー市場の今
豪州ではINPEXがオペレーター(操業主体)となって、「イクシスLNGプロジェクト」を推進している。当社は30%の権益を保有しており、技術的知見や大規模プロジェクトを推進するための能力を供給している。すぐれたパートナーシップの典型といえるだろう。
――「イクシス」は、総投資額が340億ドルに及ぶ巨大プロジェクトであり、INPEX(権益の62%強を保有)が日本企業として初めてオペレーターとなっている。2016年末までの生産開始に向け順調に推移しているか。
進捗状況は良好だ。今年6月に(2012 年11月の最終投資決定から2 年6 カ月弱で)開発作業の進捗率50%を達成した。現地で開かれた式典には私も出席し、工事の進捗を確認したが、非常に順調だ。われわれは、オペレーターとしてのINPEXのガバナンス(統治能力)、技術的な専門知識、プロジェクトマネジメントの能力に非常に満足している。
イクシスが日本のビジネス界で注目されるのは当然だろう。非常に巨大なプロジェクトであるし、そこで生産されるLNG(日本のLNG年間総輸入量の約1割に当たる年間840万トン)の約7割が日本に供給され、日本にとって非常に重要だからだ。
LNGの世界需要は年率5%で拡大へ
――日本に対するLNGの主要サプライヤー(シェア約5%)の1社として、日本最大のLNG輸入企業である東京電力が中部電力などと包括アライアンスを交渉している状況をどう見るか。
われわれは東電や中部電をはじめとした日本の多くの電力会社のほか、いくつかの日本のガス会社にもLNGを供給している。そうした企業のアライアンス戦略がどうあれ、われわれは供給を続けていく。市場の自由化を意識した戦略が、より安価なエネルギー価格を実現するならば市場にとってよいことだ。
――今後のLNG価格についてはどう見ているか。
天然ガス市場は依然としてリージョナルな(地域性の強い)市場だ。長期的には変わるかもしれないが、短期的、中期的には米国、アジア、欧州という3つの地域ごとに価格が異なる状況が続くと考えられる。米国では、シェールガスの生産によって今後も天然ガス価格は4~5ドル台程度の低水準が続く見通しだ。米国が一部を予定どおり輸出したとしても、低水準であることに変わりはないだろう。
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