シャープのガラパゴス~「和魂洋才」の心を持った「ハイブリッドイグアナ」誕生?《それゆけ!カナモリさん》
コンテンツの配信方式も、驚くべき提携が発表された。10月5日付の日本経済新聞の記事「シャープ・CCC提携 TSUTAYAのノウハウ活用 電子書籍や映画20万点」。
記事によれば、両者は合弁会社を11月にシャープ49%、CCC51%出資して設立。ガラパゴス向けに、まず12月から電子書籍3万冊を、来年3月以降マンガ、映像、音楽、ゲームなど配信を拡大するとある。
米国ではコンテンツ配信はアップルがアップルストアで独占支配している。その陰で、米国最大のレンタルビデオチェーン、ブロックバスターがレンタル需要の落ち込みで、9月22日にニューヨークの連邦破産裁判所に連邦破産法第11章(チャプター11)の適用申請をした。シャープとCCCの提携は米国と極めて好対照であるといえるだろう。
前掲の東洋経済の記事の中で、シャープの片山社長は、「電子書籍を皮切りに、今後はハードとサービスが融合したビジネスを会社の軸にしたい」と語っている。アップルの垂直統合型モデルを意識しているのは間違いない。
日本人は元来、外部のものを取り入れて、自国の文化や思想・技術と融合させるのが得意である。岡倉天心は「和魂洋才」的な発想で、伝統的な精神を忘れずに西洋の文化を学び、調和を図れと説いた。また、聖徳太子も憲法十七条で、「和を以て貴しとなす」と説いた。「カドを立てるな」と誤読されがちな言葉だが、本来は、派閥・党派に偏らず、互いに睦まじく話し合いをして合意すれば、道理にかないものごとが成しとげられるようになるという意味だ。
シャープのガラパゴスは、アップルの端末を日本の事情に合わせて最適化しつつ、メディア配信の覇権を握るのではなく、相互メリットのある提携関係を構築して市場を拡大しようという動きであると読み取れる。極めて、良き日本的な展開であるといえるだろう。
一方、より、南の絶海の孤島「ガラパゴス島」的な展開を見せているのがスマートフォンだ。