たばこ規制は後回し、大増税が抱える矛盾

たばこ規制は後回し、大増税が抱える矛盾

東京・渋谷の若者向け商業施設の中にある「LCAFE(エルカフェ)」。一見すると普通のカフェだが、この店のコンセプトは「マーケティング」。企業の協賛を募り、店内には化粧品や食品の無料サンプルが置かれている。おしゃれな店内は、深夜まで女性客でにぎわう。

店の奥に設けられた喫煙ルームに足を踏み入れると、内装はガラリと変わる。壁一面に女性に人気のたばこブランド「ピアニッシモ」のロゴ、入口には商品が陳列されている。室内のテレビ画面にはPRビデオが流れており、まさに“たばこ天国”といった趣だ。2009年にオープンしたこのカフェは、JT(日本たばこ産業)が喫煙ルームの設計段階から協賛している。

JTは自治体と共同で、全国に835カ所の喫煙スペースを設置している。近年はLCAFEに限らず、公共施設での禁煙が義務づけられた神奈川県で海水浴場の海の家を協賛するなど、販促活動を広げている。

JTは販促強化へ舵 高級化へとひた走る

10月1日から実施された「たばこ大幅増税」。主要銘柄は1箱当たり100円以上の値上げとなる。過去にもたばこ増税は繰り返されてきたが、自民党政権下では税収増が目的で、小幅値上げにとどまっていた。だが、昨年の政権交代で民主党は「健康増進」を打ち出し、欧米など他の先進国の価格を参考に1箱600円程度に値上げすることを宣言した。

喫煙率の低下は毎年進んでおり、増税でさらにそのスピードが上がることは間違いない。だが、真の意味で先進国並みになるには規制の見直しも必要だ。過去最大幅の増税を機に、たばこメーカーが積極販促で攻勢を仕掛けてくるからだ。

「主力商品が300円から400円台になるので、戦略を変える必要がある。従来の安くておいしいから、高付加価値化を進めて値上げ分の満足感を追求していく」(JT)。増税後はマーケティング費用を手厚くして喫煙スペースを設置するほか、マナー向上を訴求するイベントなども強化。さらに今後2~3年で、500億~600億円の設備投資を行って既存ブランドを刷新し、味や香り、パッケージの高級化へ舵を切る。これまで国内投資は設備更新にとどまっていたが、大幅増税を機に久々の大規模投資に踏み切る。

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