たばこ規制は後回し、大増税が抱える矛盾
日本は先進国の中で規制が緩いとの批判は多い。下表のように、他国では広告やスポンサーの規制が進む。テレビでメーカーの広告が流れることさえ、まずありえない。米国では州ごとに規制が行われてきたが、09年にたばこ規制法が成立。FDA(米食品医薬品局)の管理下で「マイルド」「ライト」など誤解を招く表現が禁止されるなど業界への圧力は強まっている。日本では財務省が管轄しており、厚生労働省はたばこの害について情報提供を行うにとどまっている。
国立がん研究センター研究所でたばこ政策研究プロジェクトのリーダーを務める望月友美子氏は、「日本では、禁煙推進派が『喫煙という個人の自由を侵害している狂信的な考えを持つ人』と受け取られることすらある」と問題視。増税と並行して規制強化や啓発活動を行うことが、健康増進には不可欠だと主張する。
民主党にも問題意識はある。09年に発表した政策集の中で、「財源確保の目的で規定されている現行のたばこ事業法を廃止して、健康増進目的の法律を新たに創設」、「JTに対するさまざまな事業規制を同時に行う」と明記している。
9月の新内閣誕生では、厚生労働副大臣に禁煙推進議連の幹事長を務める小宮山洋子氏が就任。禁煙推進派からの期待は高まったが「事業法改廃の優先順位は高いが、ほかの課題が山積みなのが現状」とスピード感はない。