「5年間で3度、クマと対峙した」→足に裂傷も負った70代ネパール人が語る《クマ被害の実態》… ネパールと日本の"意外な関連性"とは
<高地の集落で増える襲撃事例と進まない対策。住民の体験談から浮かび上がるのは意外な原因──>
ネパールでクマによる人身被害事例が増加
ネパール中部の高地にある仏教徒集落、ヌブリに住むドルジェ・ドゥンドゥル(71)は数カ月前、ツキノワグマに足をかまれた。被害に遭ったのは、この5年間で3度目だ。
最初にクマに襲われた時のことを、ドルジェはこう振り返る。「ある晩、帰宅した妻から、家の裏の畑のトウモロコシがクマに食い荒らされたと聞いた。クマを追い払うため、妻が夜の見張りの準備をしている間、畑を確かめに行った。クマはその場に座り込んでいて、攻撃してきた」
ドルジェは地面に伏せたが、シャツを破られ、肩を引き裂かれた。「叫び声を上げたら、クマは逃げた。妻は私がふざけているのかと思ったが、傷を見て何が起きたか悟った」
筆者が率いる調査チームがドルジェに話を聞いたのは、高齢化と移住に関する研究プロジェクトの一環だった。クマに襲われた70代男性と、ネパールの人口動態に何の関係があるのかと思うかもしれない。実は「大あり」なのだ。
ネパール各地では近年、クマによる人身被害事例が増加し、報道や学術研究で取り上げられている。その最前線にいるのが、ヌブリの住民だ。主な理由の1つは人口流出にある。教育・雇用機会を求めて、特に若年層が村外へ移住し、今やヌブリで生まれた5~19歳の75%以上が別の場所で暮らしている。

















