ウクライナより深刻?「岸田リスク」を総点検する 岸田内閣は短命のほうが日本のためになる?

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しかも、届くことはないと思われていた消費者物価の「2%」の上昇率が、エネルギー価格をはじめとする輸入物価の上昇につれられて、昨春の携帯料金引き下げの影響が剥落する今春以降に、一時的に達成される可能性が出て来た。

仮にそうなるとして、このインフレは、需要が昂じて景気が過熱して起こったものではなく、需要の弾力性が小さい(価格が上昇しても節約しにくい)エネルギーなどの輸入価格上昇に伴って起こる国民の窮乏化を伴う物価上昇であり、金利を引き上げることが適切な種類のインフレではない。

7月の日銀政策委員会の審議委員人事に注目

例えば、政策金利を引き上げると、おそらく大幅な円高が起こり、輸入物価の下落要因にはなる。だが企業の価格競争条件が悪化し(よく話題になる輸出競争力だけではなく、国内製品も競争条件が悪化する)、加えて実質金利の引き上げになるのだから、ここに至っても「コロナ前」に戻ることすらできていない日本経済に良いはずがない。

「円高のほうが、企業は高付加価値製品へのシフトに努力するだろう」という声を聞くことがあるのだが、根拠のない根性論だ。利益が出ていて、実質金利が低いほうが、企業は前向きな投資を行いやすいと考えるのが当然ではなかろうか。日本企業が高付加価値製品分野で競争力を持たないことの原因は、円安ではない。

これまでに何度も指摘してきたことだが、金融政策転換リスクの恐ろしいところは、岸田氏が次の日本銀行の正副総裁の実質的な任命者になることだ。「新しい資本主義」その他に関連する迷走は、少々後から岸田氏の「耳」に悪評が入ることによってその都度修正が可能だが、日銀総裁の任期は5年あるので、影響が固定化される公算が大きい。

このリスクの行方を占ううえでは、7月に任期を迎える日銀の政策委員会の審議委員である、鈴木人司氏および片岡剛士氏の後任に注目したい。鈴木氏は「銀行業界枠」と目される方なので、一人は銀行業界から選ばれるものと予想されるが、「リフレ派」エコノミストである片岡氏の実質的な後任にリフレ派と覚しき人物が選任されないようだと、来年の正副総裁人事に赤に近い黄色信号が点滅する。場合によっては、参議院選挙以上の7月の注目材料だ。

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