ウクライナより深刻?「岸田リスク」を総点検する 岸田内閣は短命のほうが日本のためになる?

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株式市場が「岸田リスク」と感じている、「岸田首相の懸念材料」は複数あるが、大きく3つのカテゴリーに分けることができる。第1に「税制リスク」、第2に「新しい資本主義リスク」、第3に「金融政策転換リスク」だ。

首相が再び税制言及なら日経平均1000円下落も

まず、税制に関するリスクとして心配なのは、岸田氏が昨年の自民党総裁選の時点で口にしていた金融所得課税の見直し(要は税率引き上げ)が、再登場する可能性だ。

この構想は、金融所得に対する課税が分離課税であるために、株式の配当等による収入が大きい年収1億円を超えるような富裕層の所得に対する税率が、1億円未満の層よりも低下する通称「1億円の壁」問題への対策として登場した。増税に熱心な官僚やそのサポーター的な学者などの間では前々から話題に上っていた構想だが、どうやら「分配」が大事らしいとぼんやり思っていた岸田氏の耳に入ったのだろう。

金融所得への課税強化は、投資家が株式投資や投資信託への投資などでリスクを取って儲けることに対して、現在よりもより処罰的に働く、投資家から見ると「とんでもない税制改悪」だ。この可能性は、岸田氏が首相に就任した当初にマーケットで懸念されて株価が下がり、一部では「岸田ショック」などとも呼ばれた岸田リスクの第1号案件だ。

市場では不評で、株価を下げかねないことから、参議院選挙の前に持ち出されることはなさそうだが、参議院選挙が終わって、来年の税制が検討される今年の秋以降に、再び話題に上る可能性がある。話題に上るということは、岸田首相の耳に入るということであり、彼にとっては「耳、即ち脳!」なので、反射的に「検討を廃除するものではない」などと口走るかも知れない。

この場合、株価はいったん急落し(日経平均株価で1000円見当か)、その後に様子を見ながら、検討が撤回させるまでじくじく悪影響を与える材料になりそうだ。筆者は、こうした市場の反応を見て、金融所得課税の見直しは実現しないことになるだろうと「予想」するが、予想というものは当てにならない。

仮に参議院選挙に与党が勝利していた場合(今の野党に対して、さてどのくらい負ける要素があるのか?)、しばらく国政選挙のスケジュールがないので、増税マニアの誰かが、岸田氏に「総理の掲げる政策を実現するチャンスは今しかありません」とささやくかも知れない。この場合、ささやきの角度とタイミングが気持ちよくて実現してしまう可能性がゼロではない。

次ページ 2つ目の「新しい資本主義」の問題点は?
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