ここのところ、内外の株価が全体として下げ気味になりながら、大きな値幅で動いている。市場関係者がよく使う「乱高下」という言葉が、いかにもぴったりの展開だ。
「株価の乱高下」は何を意味するのか?
テクニカル分析(≒チャート分析。価格や出来高などを元に将来の相場を予測する分析方法)を鼻で笑って、投資家には「テクニカル分析は占いのようなものだから、凝らないほうがいい」という筆者なのだが、株価の上下の動きが激しくなると「ああ、バブルの最終局面の雰囲気だなあ」という感想を持つ。
「もうダメだろう(金融引き締めが来るよ)」と思う市場参加者と、「まだまだ大丈夫だ(景気はいいし)」と思う参加者が拮抗して、一方に大きく振れやすく、株価が不安定になるようなイメージだ。過去の経験から来る「感想」だ。
1月29日配信の本連載で小幡績(慶應義塾大学准教授)さんが「バブル崩壊がすでに始まっている」という論考を書かれていたが、「すでに始まっている」のか、「遠からず始まる」のか、は別として、バブル崩壊と称せられるような事態が今後進行するだろうという点について、筆者も同意見だ。小幡先生と「あるべき経済政策」については意見が合わないことが多いのだが、「バブル崩壊はある」については一致する。
本連載は「市場深読み」という言葉を含むタイトルの下に運営されている。市場、すなわち株価を中心とする「相場」を取り上げないわけにはいかない。実は、岸田文雄首相の「新しい資本主義」を嗤う大風呂敷を広げようかと思っていたのだが、今回は自粛することにして、マーケットについて考える。おおもとの認識に間違いがある「新しい資本主義」については、今後も岸田首相が珍説をまき散らすにちがいないので、批判のチャンスはいくらでもあるだろう。
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