中国と地政学的リスクは沈静化するのか?
冒頭で触れた拙稿では、ウクライナと台湾海峡とで同時に軍事的紛争が勃発することを心配したのだが、そうした事態になるのかどうかは、わからない。
ただし、そうした問題が起こった際には、日本はアメリカに同調して経済制裁に加わらなければならなくなるのだろうから、特に中国との経済関係の悪化を通じて、経済面で大きな悪影響を受けそうだ。
また、こうした事態が起こらなくても、中国のゼロコロナ政策の行きすぎによる悪影響、中国政府がIT企業などへの締め付けに転じたことによって生じている「中国的資本主義の部分的自殺」、巨大化した不動産バブルの後始末(日本人はこれが大変であることをよく知っている)、など中国発の経済的リスク要因は複数存在する。
岸田リスクの顕在化に注意
岸田首相は株式市場が嫌いなのではないだろうか。
自民党総裁選の際に言い出した金融所得課税の見直しに始まり、その後も、自己株買いの規制の可能性、さらには「株主資本主義」(何を指して言っているのだろうか?)の見直しに触れるなど、株価に対してネガティブな発言が不規則に発生している。
「聞く力」が売り物の彼のことだから、緊縮財政への傾斜も含めて、岸田首相の反株式市場的な傾向は、おそらく彼の周囲の人々(主に官僚)の影響なのだろう。
参院選までは封印するのだろうが、金融所得課税の見直し(一部の増税マニアが熱心な案件だ)は年後半の税制検討の段階で再登場する心配が十分ある。
ご本人が心底株式を嫌っているのかどうかは定かでないが、株式市場のほうはすでに岸田首相を嫌っているように見える。
加えて、株式市場と日本経済にとっての本格的な岸田リスクは、彼がアベノミクスの金融緩和政策に対して修正を加えようとする際に顕在化する。いつどのような形で現れるかを現時点では見通せないが、日本固有の影響の大きなリスクが現実化するかもしれないことを、投資家は頭に入れておきたい。
珍妙なる「新しい資本主義」論については、また別の機会に論じたい(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。
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