ウクライナより深刻?「岸田リスク」を総点検する 岸田内閣は短命のほうが日本のためになる?

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また、本来、福祉やセーフティーネットの役割を企業に割り当てることが不適切で、これは岸田氏一人に責任があるわけではなく、日本の社会設計上の誤りだが、企業に賃上げを求めることを「分配政策」だと勘違いしたり、「70歳まで社員を雇用せよ」と要請したりする、「資本主義の修正」のつもりの政策は、企業の活力を奪い、社会を停滞させる。この調子では、「企業の内部留保への課税を検討する」などとも言い出しかねない。

いずれも、株式投資家が嫌う社会の姿だし、経済の一層の停滞を招く。筆者が考える正しい方向性は「強力なセーフティーネット付きの普通の資本主義の徹底」だ。例えば、正社員に対する解雇の金銭解決ルールを整備して人材の流動化・再配置を促すことが必要だが、その前提条件として、解雇されても生活ができるようなセーフティーネット(理想はベーシックインカム)と職業訓練の仕組み、さらには公的な教育・研究の充実などが必要だ。

付け加えると、「普通の資本主義」と「セーフティーネット」の両方が必要だが、順番はセーフティーネットの整備が先だ(柔道で、投げ技よりも受け身を先に練習するように)。

この点で、岸田氏の「分配重視」は役に立つかも知れないのだが、先の「子供1人当たり10万円」の給付金が所得制限付きでボロボロになった様子を見ると、セーフティーネットの構築はおろか、正しいバラマキ政策の作法もご存じない様子だ。

岸田首相の「新しい資本主義」構想は、「予想としては」、おそらく迷走して、その都度株式市場に嫌われながら方針を撤回して、日本にとって時間の空費に終わるだろう。停滞感満載の時間が延びるのは国民にとって災難だが、そのくらいで済めばいい、とも言える。

「金融政策転換リスク」はインフレで発火するか?

本格的に心配なのは、3つ目に挙げた、岸田政権が金融緩和政策を転換しようとするリスクだ。

岸田氏は、かつて「政権禅譲」の期待を裏切った安倍晋三氏を快く思っていまい。また、彼の脳そのものである「耳」には、周囲の官僚達から緊縮財政への誘惑とともに、アベノミクスの金融緩和政策を見直そうとする声が侵入しているにちがいない。

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