「最高の父親」ブラピが泥沼離婚に陥った理由 アンジェリーナ・ジョリーはなぜ彼を憎むのか

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その前からいろいろ溜まっていたのは間違いないが、背中を押したのは、プライベートジェットの中で口論になり、アクシデントとはいえ、ピットがマードックス君に触れてしまったこと。

その時、酒に酔っていたことを認めるピットは、親権を失うリスクに直面し、酒をキッパリやめた。だがそんなピットの努力にもジョリーは冷たく、一貫して単独親権を主張し続ける。共同親権が一般的なアメリカで、それは珍しいこと。そのせいで、ピットは、しばらく愛する子どもたちに面会するにも苦労したが、昨年5月、ようやく共同親権を取り付けることができたのだった。

と思ったら、10月にまたあっけなく覆されてしまったのである。ふたりの離婚の件を担当していた判事がはずされたせいで、その判事が下した共同親権の判決が無効になったのだ。なんとしても単独親権を死守したいジョリーが、この判事がピットの弁護士とビジネス関係にあることを指摘し、判事の交代を願い出た結果のこと。やっと終わったと思った戦いは、ここで振り出しに戻ってしまった。

愛する子どもたちはどうなる?

そこへきて、今度はシャトー・ミラヴァルをめぐる訴訟である。このトラブルが今後、どんな展開を迎えるにしろ、ふたりは、結婚していた期間よりずっと長い期間を争いのために費やすことになるだろう。

それにしても、「最高の父親」と褒めていた元夫が子どもたちの父親であり続けることを、ジョリーはどうしてそこまで嫌がるのか。それ以前に、アニストンの大勢のファンから嫌われるのも覚悟で略奪した男は、なぜそこまで憎い存在になってしまったのか。

一番複雑な思いを抱いているのは、ふたりの親のはざまにいる子どもたちだ。長男マードックス君は、プライベートジェットの一件以来、ピットとの連絡を絶っているとのこと。

「あなたは僕のパパなの?」と言い、ピットの心をくすぐったマードックス君は、現在、韓国の大学に通う。ピットにとっての初めての息子は、物理的にも、精神的にも、とても遠いところに行ってしまった。

長い戦いの間にも、子どもたちは育っていく。「最高の父親」と呼んだ男が子どもたちを抱きしめるのをジョリーが許す日は来るのだろうか。

猿渡 由紀 L.A.在住映画ジャーナリスト

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さるわたり ゆき / Yuki Saruwatari

神戸市出身。上智大学文学部新聞学科卒業。女性誌編集者(映画担当)を経て渡米。L.A.をベースに、ハリウッドスター、映画監督のインタビュー記事や、撮影現場リポート記事、ハリウッド事情のコラムを、『シュプール』『ハーパース バザー日本版』『バイラ』『週刊SPA!』『Movie ぴあ』『キネマ旬報』のほか、雑誌や新聞、Yahoo、ぴあ、シネマトゥデイなどのウェブサイトに寄稿。米女性映画批評家サークル(WFCC)会員。映画と同じくらい、ヨガと猫を愛する。

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