会社員の「脱サラ起業」が失敗しがちな根本的理由 「退路を断つ」よりもっと大事なことがある

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「脱サラ起業は失敗の可能性が高い」という研究結果をご存じですか(写真:kouta/PIXTA)
世は起業ブーム。起業を考える会社員に「すぐ脱サラして起業に挑戦しろ」と激励する人もいる。しかし「脱サラ起業は失敗の可能性が高い」という研究結果があるのをご存じだろうか。
戦略コンサルタント・永井孝尚氏の最新刊『世界の起業家が学んでいるMBA経営理論の必読書50冊を1冊にまとめてみた』から、成功確率を劇的に高める会社員の起業について解説します。

起業にまつわる「都市伝説」に騙されてはいけない

「今回も書類審査落ちか……」

アラフォーで就活中のタカハシさんは、心が折れかけていた。書類審査落ちが何十社と続いてまだ1回も面接にこぎ着けていない。タカハシさんは1年前に「退路を断って起業する」と宣言して脱サラし、仲間とスタートアップを起業。しかし起業の成功確率は低い。新規事業は鳴かず飛ばず。資金が尽きて会社は解散。やむなく就職先を探している。

「起業して失敗したことがマイナスに評価されてしまって、書類でハネられるんですよね」

日本では脱サラして起業に失敗した人が再就職するのは難しいのが、厳しい現実なのだ。

しかし一方で、世の中では自分の成功体験でこう語る起業家が実に多い。

「生半可な覚悟で起業に挑戦するなんて論外。オレの経験では、自ら退路を断ち、いちばん乗りを目指し、アイデアを絞り込んで本気で取り組まない限り、起業は成功しない」

しかし現実には、タカハシさんのようにこの言葉を額面どおり信じて脱サラ起業し、苦しむ人もいる。成功した起業家の言葉を、真に受けてはならない。「退路を断って起業しないと成功しない」というのは「都市伝説」なのである。

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