人を理解したいなら「自分はダメ人間」と認める事 不器用で失敗が多いほど面白い会話ができる

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「いろんな人間を受け入れることで、豊かなコミュニケーションが成立する」とジャーナリストの田原総一朗氏(撮影:坂本禎久)
取引先との盛り上がらない商談、同僚との疲れる会話……。会話やコミュニケーションがうまくいかず、ストレスを抱える人は多いでしょう。「そんなコミュニケーションの悩みを解決する方法がある」と言うのが、ジャーナリストの田原総一朗氏です。
田原氏は多くの政治家や起業家、専門家らと接するなかで、コミュニケーションにおいて大事なことを学んだと言います。それはいったい? 氏の新刊『コミュニケーションは正直が9割』をもとに、3回にわたって解説します。今回は3回目です(1回目の記事はこちら、2回目の記事はこちら)。

私自身は、とても弱い人間だと思っています。基本的にすごく寂しがり屋で、孤独というものに耐えられません。世の中には強い人がいると思うのは、たとえば堀江貴文さんは実刑判決を受けて約2年、刑務所に入っていました。その間、彼は200冊の本を読み、韓国語を勉強したといいます。

同じように東京地検特捜部に捕まって、512日間も東京拘置所に入っていた元外務省官僚で、作家の佐藤優さんもすごい。

佐藤さんは鈴木宗男さんの一連の事件に連座するかたちで捕まりました。特捜がよくやることですが、鈴木さんを有罪にするために、周辺を固める。関連する人間を拘束し、有利な証言を得るために徹底的に取り調べるのです。

読書にあれほどふさわしい環境はない

司法が牙を向いたら、まずどんな人間でもビビりますよ。彼らが作ったシナリオどおりに自供すれば自由になれると思えば、ほとんどの人がそうするでしょう。

私など、そんな状況になったらまず頑張ることなどできないと思います。孤独が耐えられない人間だから、狭い部屋に1人で閉じ込められるだけで参ってしまいます。ところが佐藤さんは512日間、ついに司法の言いなりにならずに頑張り通しました。

聞けばその間、堀江さんと同じように、さまざまな本を読んだといいます。後の対談で、彼は「本を集中して読むのに、あれほどふさわしい環境はなかった」と笑って言っていました。世の中には、私からするとバケモノのように強い精神力を持った人がいるものだと驚きました。

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