平気で「減塩食品」を買う人が知らない残念な真実 健康志向の人も盲点!「3つの落とし穴」とは?

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日本人は塩の摂り過ぎであり、減塩を心がける必要がある――。これはまったくその通りですが、安易に「減塩食品」に頼ることで、かえって塩分の摂り過ぎになってしまうという、まさにそのことを私は訴えたいのです。

しっかり漬かった梅干しは少量で十分。2個も3個も食べられません。塩鮭だって、しっかり塩が入ったものは、何切れも食べられません。

あくまで私見ですが、「減塩梅干し」より、いい塩でしっかり漬かったものを、少量味わうという食べ方のほうがいい​と思うのです。

しょうゆだって、減塩しょうゆをバシャバシャかけるよりも、昔ながらの製法で作った「良いしょうゆ」を少なめに使うほうがよっぽどおいしいし、減塩につながると私は考えます。

和食でも「工夫次第」で減塩は十分可能

そしてなにより大事なのは「薄味に慣れる」「素材そのものの味を味わう」という味覚づくり、舌づくりです。

うちの家族も私も、市販のスナック菓子やカップ麺を食べ切れません。味が濃すぎるからです。また仕事で市販のお弁当をいただくこともありますが、ほとんどのものが味が濃くて、あとからのどが渇きます

家でいつも食べているのは和食ですが、外のご飯は、家の食事としょっぱさが全然違うので、舌がビックリしてしまいます。

味は「慣れ」です。最初は「味が薄い」「物足りない」と思っていても、続けていけば舌が慣れてきます。つまり、日ごろから素材の味を生かした「薄味の調理」を心がけていれば、自然と減塩も達成できるのです。

ちなみに、私が開発した「安部ごはん」は「和食だから塩分が多いのでは?」と思われるかもしれませんが、そうではありません。市販の「◯◯の素」を使わず、「魔法の調味料」をベースに手作りするため、かなり塩分は控えめです。和食であっても手作りすれば、心配するような塩分過多にはならないのです。

たとえば、私が開発した「超ヘルシー豆乳太平燕(タイピーエン)」は、市販のチャンポンの素を使うより塩分が半分近くなるようにしつつも、海鮮の旨味がスープに溶け込んでクセになる味わいになるよう、熊本名物「太平燕」を家庭で手軽に作れるようにアレンジしました。また、「さっぱりトマト酸辣湯(サンラータン)ラーメン」では、塩を控えめにし、トマトの酸味を生かすことで、スープのおいしさを引き立てるレシピにしています。

安部氏が開発した「かえし」さえあれば10分で簡単に作れる「超ヘルシー豆乳太平燕」(撮影:佳川奈央)
安部氏が開発した「かえし」さえあれば15分で簡単に作れる「さっぱりトマト酸辣湯ラーメン」(撮影:佳川奈央)

安易に「減塩食品」に頼らなくても、工夫次第では、塩分の量を減らすことは、誰にだって十分可能なのです。

みなさんもぜひ和食で塩分控えめの「健康的な食生活」を送っていただきたいと思います。

安部 司 『食品の裏側』著者、一般社団法人 加工食品診断士協会 代表理事

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あべ つかさ / Tsukasa Abe

1951年、福岡県の農家に生まれる。山口大学文理学部化学科を卒業後、総合商社食品課に勤務する。退職後は、海外での食品の開発輸入や、無添加食品等の開発、伝統食品の復活に取り組んでいる。NPO熊本県有機農業研究会JAS判定員、経済産業省水質第一種公害防止管理者を務めつつ、食品製造関係工業所有権(特許)4件を取得。開発した商品は300品目以上。

2005年に上梓した『食品の裏側 みんな大好きな食品添加物』(東洋経済新報社)は、食品添加物の現状や食生活の危機を訴え、70万部を突破するベストセラーに。その他の著書に『食品の裏側2 実態編 やっぱり大好き食品添加物』(東洋経済新報社)などがある。

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