タイプ音や咀嚼音で不調「ミソフォニア」という病 耳栓は自分を「音」から守るための重要なツール
遠藤さん(以下、遠藤):高校1年生のときに、授業中の先生のリップ音(パッ、ペチャペチャなど)が気になり始めてから、そしゃく音や鼻をすする音が苦手になりました。貧乏ゆすりや顔をかく仕草、ガムをかむ口の動きなど、視覚的にも気になってしまう動作があります。
音を聞いた瞬間に一気に緊張して、心拍数が上がって呼吸も荒くなり、パニック発作のようになります。音を出す人に敵対心を抱いて、いら立ちや逃げたい気持ちにもなってしまう。音が止んだ後も疲弊して、しばらく何もできなくなることもあります。
父の食べ方やそしゃく音で泣いてしまった
――ガラスを引っかく音などは多くの人が嫌いますが、何気ない日常の音でも症状が出てしまうのは、想像しただけでつらそうです。実生活に悪影響が出てしまったことはありますか?
遠藤:高校生のころ、両親と外食したときに、父の食べ方やそしゃく音で症状が出て、泣いてしまったんです。両親は驚いて、「お前は神経質すぎるんだよ」と言われました。それから家でも別に食事をとるようになりました。友人たちとの食事でも、苦手な音が必ず出るので、そういった場に行くのが億劫になってしまいました。
理解されづらい症状ですし、どう伝えていいかもわからない。家族には、ミソフォニアについて書かれた漫画(※)を送ったのですが、当事者ほど重くとらえていないと思います。
※漫画家の中川海二さんがツイッターで発表し、2万以上リツイートされた『知り合いがミソフォニア(音嫌悪症)という病気だった話』
知り合いがミソフォニア(音嫌悪症)という病気だった話①
— 中川海二 (@nakagawakaini) August 8, 2019
♯ミソフォニア pic.twitter.com/CIcNn2zISs
高岡:僕も中学生から高校生の6年間、家族と一緒にご飯を食べたことがありません。家では自分の部屋に閉じこもって過ごしたので、隔たりができてしまいました。