鉄道と航空、リモートで競う「未来の乗客」獲得策 京都鉄博にANA発アバター登場、JALは料理教室

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そして迎えた2月の本番。トライアルで聞かれた参加者の意見も踏まえ、料理の実演や盛り付けをするシェフの手元を見せるためにカメラを増やし、画面を切り替えられるようにするなどの改善を加えた。

料理教室では鮎の魚醤の使い方や、バターでステーキをおいしく仕上げるコツ、肉料理に合うワインのブランドなど、料理が趣味の人たちに応用してもらえそうなヒントを内山シェフが伝授した。参加者からは「こんなに簡単に再現できるなんてうれしい」「家族の誕生日に利用した。喜んでくれた」という声が寄せられた。

客室乗務員の岡本なえみさん(左)と内山直樹シェフ(記者撮影)

企画を担当した客室乗務員の岡本なえみさんは「お客さまと楽しく会話ができる日が早く来ないかと待ち遠しい。以前のようにコミュニケーションをとりながら、機内サービスを楽しんでいただきたい」と語る。最近乗務し始めた後輩たちにも国内線とは違った醍醐味を伝えたいという。料理教室は次回、3月12日に開講。その後もメニューを変えながら定期的に開催していきたい考えだ。

リモートは交通機関の味方にも

移動需要の減少で鉄道やバス、航空など運輸業界を取り巻く経営環境は厳しい状況が続く。そうしたなか、各事業者は、コロナ禍で中止になったファン向けのイベントをオンラインで開催し、利用者とコミュニケーションを取ろうとあの手この手を繰り広げている。

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例えば、箱根登山鉄道を傘下に持つ小田急箱根ホールディングスは2022年3月末まで「おだきゅうはこねのりものフェスタ」を開催。箱根登山電車、箱根登山ケーブルカー、箱根登山バス、箱根ロープウェイ、箱根海賊船と、バラエティーに富む乗り物の作業現場など「裏側」を撮影した動画を特設サイトで無料公開している。

また、有料でプレミアム感あるコンテンツを提供する事業者も目立つようになった。現場の第一線で活躍する社員とつなぎ、質問など双方向でやり取りができる「オンライン社会科見学」のようなイベントを展開する例が多い。離れて暮らす家族や友人と自由に会うことができなくなった一方、オンラインによって従来かかわりがなかった世界の人たちと出会える機会が生まれた。

生活の中に一気に普及したオンラインによるコミュニケーション手段は、リアルな移動の需要を減らした。鉄道・航空業界にとっては脅威のように思えるが、使い方次第ではこれまで縁がなかった人たちを「未来の乗客」として囲い込むための強力なツールになる可能性を秘めている。

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橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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