鉄道と航空、リモートで競う「未来の乗客」獲得策 京都鉄博にANA発アバター登場、JALは料理教室

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このアバターは「newme(ニューミー)」という名称で、ANAホールディングス(HD)傘下のスタートアップ企業、avatarin(アバターイン)が手がける。

アバターは一般の来場者に交じって見学(記者撮影)

エアライン発の企業がなぜ、長距離を移動する必要性がなくなるアバターに力を入れるのか。同社の広報担当者は「飛行機の旅に縁がなかった人口はまだまだ多い。まず“瞬間移動”できるアバターでミュージアムなどを見学してみて、現地で実際に体験してみたい、という気分になったらANAで旅行していただければ」と話す。

ANAHDと大分県とは2017年に包括連携協定を締結、2018年にアバター技術の実証を開始した。現在は11台のアバターが貸し出され、県内の企業や学校を実証フィールドとして活用中。これまでに大分市にある府内五番街商店街での遠隔買い物体験、葬儀場での“参列”といった実証実験を実施した。2021年7月には由布市の地場企業デンケンでニューミーの量産を始めた。

コロナ禍でも「外の世界」を

教育関係では、奈良国立博物館やカップヌードルミュージアム大阪池田などの見学にアバターを導入した。大分県先端技術挑戦課の林孝憲さんは「県内には離島や山間部が多い。コロナ禍でも子供たちに大分の外の世界を体験し、先々はアバターで見たところに実際に行ってみようと考えてもらいたい」と狙いを説明する。

大分県先端技術挑戦課の東上佳祐さん(左)と林孝憲さん(記者撮影)

同課の東上佳祐さんも「画面越しでみるので、スケール感が伝わりやすい鉄道車両の展示は親和性があると感じた。もっと学んでみたいと知的好奇心を駆り立ててもらい、足を運んでもらえると県と相手の施設の双方にメリットがある」と話していた。今回は学校側から希望があり、京都鉄博に打診して実現したという。

京都鉄博は「新幹線を使って来てほしい」、アバターインは「飛行機に乗ってほしい」――。それぞれの担当者の将来への期待がかかるアバターだが、大分の子供たちが京都への移動手段に選ぶのはどちらだろうか。

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