鉄道と航空、リモートで競う「未来の乗客」獲得策 京都鉄博にANA発アバター登場、JALは料理教室
エアラインでは日本航空(JAL)も独自のリモート企画で他社との差別化を図る。2月11日には「JAL料理教室オンライン」を開催した。手がけたのは社内ベンチャーチーム。同社が最近「サ旅」と題して売り出しているサウナをテーマにした旅行商品はこのチームが企画した。
料理教室の講師を務めるのはJALコーポレートシェフの内山直樹さん。アメリカの有名レストランや、東京・六本木の「ウルフギャング・パック」レストランの総料理長を務め、現在はジャルロイヤルケータリング(JRC)で国際線機内食のメニュー開発を担当する。
オンライン教室のメニューは「最高等級のアメリカ産プライムビーフ、カラスミやトリュフなど厳選された食材を使用したビジネスクラスをイメージした内容」で、参加者には調理済みの食材2人分があらかじめ冷凍した状態で届けられる。「Zoom」でシェフとやりとりしながら、調理の過程や味付け、盛り付けのポイントを学び「手軽にアッパークラスの食事を再現できる」のが売りだ。参加費はJALのマイレージで1万9000マイルに設定。ほかにミールキットのみの1万8000マイル、動画視聴だけの1000マイルのコースもある。
グループ社員でトライアル
本番3カ月前の2021年11月の土曜日午後、羽田空港にあるJRCのテストキッチンに運営側のメンバーが集まっていた。この日はJALグループから約20人を募り、自宅などから参加してもらってオンライン料理教室のトライアルを実施した。社内向けではあるが「率直な意見を聞きたい」(担当者)と、材料代程度の参加費を払ってもらった。実費とはいえ高級食材のため決して安い金額でなかったようだ。
画面の向こう側、参加者の手元に届いているのはほぼ完成した食材なので料理の失敗を心配する必要なく楽しめる。が、リアルタイムの動画配信作業はプロに頼らない手作り。現場のスタジオでは慣れない機械の使い方にメンバーが試行錯誤する場面も見られた。
内山シェフは「海外発のファーストクラスやビジネスクラスで提供する機内食は、現地の工場で調製してもらうことになる。使用するのは最高級の食材だが、自分で思ったとおりに調理できるわけでないので、海外の工場スタッフや客室乗務員にわかりやすいシンプルなメニューにしている」と話す。離れた場所にいる人にも作り方が伝わる工夫がされた機内食のメニューは、意外とオンライン教室に向いていると言えそうだ。
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