猫は「ゴルゴ13以上のスナイパー」すごすぎる能力 優れた狩り能力を実現させるすごい身体の構造

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猫研究の第一人者が語る、猫の身体能力のすごさ(写真:Y.BLUE/PIXTA)
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世界有数の猫好き国民といわれる日本人。飼育数も犬を抜き、人間のパートナーとして、かけがえのない存在となっている。だが、猫の優れた能力はあまり知られていない。それもそのはず。猫は一日のほとんどを寝て過ごすため、人間にはその優れた心身の能力を見せる機会がごく少ないからだ。猫研究の第一人者として各地でフィールドワークをおこなう生物学者山根明弘氏の著書『ねこはすごい』より、猫の隠れた「すごさ」を一部抜粋して紹介する。

ねこのパワーの理由は「瞬発力」にある

ねこの身体の「つよさ」を挙げるとすれば、一にも二にもその瞬発力です。この瞬発力は筋肉のつよさだけでなく、身体のしなやかさ(柔軟性)も密接に関係しています。これらのポテンシャルは、祖先であるリビアヤマネコの狩りによって磨かれ、進化してきたものです。ねこはその能力を、ほぼそのままの形でいまに受け継いでいます。

ねこの瞬発力、つまり爆発的なパワーが発揮されるのは、獲物が射程圏内に入ったあと、獲物を捕らえるまでのわずかな時間です。獲物がねらわれていることに気づいて逃避行動に入ろうとするなか、どれだけ短時間に最高速に達して、相手との距離をゼロにできるかが、狩りの成功のカギを握っています。そのスタートダッシュの主役は、後肢の爆発的な瞬発力です。

ねこの後肢の筋肉は、非常につよい力を出すことのできる「白筋」というタイプのものが主で、人間の短距離走の選手、スプリンターも同様です。しかし、「白筋」の弱点は、その爆発的な力が持続できないことです。野生のねこでも、スタートダッシュのタイミングを逸して、獲物との距離がなかなか縮まらないと、すぐに諦めてしまうのは、そのためです。決して怠け者というわけではなく、パワーが維持できないからです。

ねことねこじゃらしで遊んでいても、しばらくすると突然興味をなくして、どこかへ行ってしまうのは、よくいわれるようなねこの飽きっぽい性格というだけでなく、激しい動きにすぐに疲れてしまうからなのです。

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