日本人の間で進む「潔癖を求める社会」のリアル 「世の中をきれいに」という漂白化の行き着く先

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彼らはこのところオンライン講義が増えている。それは学校だったり、塾・習い事だったりする。

先日、聞いて驚くことがあった。塾でのオンライン講義のとき、ある生徒の発表時にイヤホンをミュートすることが多いという。息子も友人たちも理由は明確に教えてくれなかったが、いつもつまらないことを話す生徒だという。息子はその子をミュートしていなかったとは思う。が、それでも、ある種の示唆を子どもたちから教えてもらうことになった。

かつてなら、「いつもつまらないことを話す」生徒であっても、ぶつかりながら成長していたかもしれない。しかし、現在では、「いつもつまらないことを話す」生徒は、その生徒が知らないあいだに、ミュートされて消えてしまうのだ。漂白化されて、事実上はいなくなってしまう。

漂白化される社会

これまで、いくつかの例を挙げながら、すべてが漂白化される社会の一端を述べた。漂白化とは、そのままの意味では「白くなる」ということだ。表面的な綺麗さが求められ、汚さは排除される社会。

ただ、ややこしいことに、私はこの風潮に反対したいかというとそうでもない。というのもビジネスでは世間や風潮に追随せねばならない。究極的な意味で世の中は間違っているかもしれないが、それを嘆いても仕方がない。私たちにできることは、むしろ漂白化する社会を利用することだろう。

何よりも、この世の中が急速に漂白化していることを、具体例とともに知ることなのだ。次回以降は漂白化する社会の実例を述べつつ、追随するための現実的な解答を説明していきたい。

坂口 孝則 未来調達研究所

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さかぐち・たかのり / Takanori Sakaguchi

大阪大学経済学部卒。電機メーカーや自動車メーカーで調達・購買業務に従事。調達・購買業務コンサルタント、研修講師、講演家。製品原価・コスト分野の分析が専門。代表的な著作に「調達・購買の教科書」「調達力・購買力の基礎を身につける本」(日刊工業新聞社)、「営業と詐欺のあいだ」(幻冬舎)等がある。最新著は「買い負ける日本」(幻冬舎)。

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