ソウルと釜山の方言を聞き分けられるほど韓国ドラマにハマった40代のMさんは、「主人公が挫折からの紆余曲折を経て自分を変えて成長し、素敵な人とめぐり合うという設定が多い。どんなことにも立ち向かう強い女性が描かれている」と分析する。
女性でも重要ポストに就いている
「最近観た『女神降臨』というドラマも、主人公が見た目のせいで最初は学校でいじめにあったり、自殺を考えたりするのだけど、お化粧をすれば変身ができると気がついて必死にメイクを習得して、まったく別人のようになる。それに伴って周囲の見る目も変わり、転校先では女神扱いされるように。それでも戸惑いながら、最後はメークアップアーティストを目指すという内容だった」
Mさんはまた、「役職など重要ポストにつく女性も多い」と指摘する。「男性ばかりが要職についていると、女性視聴者から文句が出るからではないか」。
53歳の主婦、Yさんも「出てくる女性が自立していて、同性としていいなと思えます。私が『お花畑系』と呼んでいるキラキラした恋愛ドラマのキャラクターも、日本のドラマの女性みたいに周りに流されない」と言う。
Yさんは、10年ほど前から、韓国ドラマを見始めた。最初にハマったのは、三国時代の新羅の女帝を描いた歴史ドラマ『善徳女王(ソンドクじょおう)』。学生時代は歴史が苦手だったのに、政権争いを描く物語に引き込まれた。同じ頃、同じ時代を敵側の百済から描く『階伯(ケベク)』も観て、視点を変える面白さを発見。そのうち見るものの幅が広がっていく。
韓国ドラマのジャンルは、「日本では考えられないほどグロテスクなホラー系、ファンタジー系、社会派ドラマまである」幅広さも魅力。しかも、「短くても16回、歴史ものだと100回を超える長さで放送されるので、あり得ないような恋愛のすれ違いも、その事情がていねいに描かれるため納得してしまう」と分析する。
フリー編集者、62歳の戸塚貴子さんは、「多くの社会的危機を乗り越えてきた韓国の足腰の強さを、韓国ドラマは表現している。社会への問題意識を打ち出す中に、必ず女性の地位向上への視点がある」と分析する。
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