MRJ、ANAとJALはどこへ飛ばすのか 国内の就航路線を大胆予想!

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羽田発着地方路線のMRJをめぐって、ANAとJALの戦略が異なるのには理由がある。ANAが運航する羽田発着の地方路線は、最も小型の飛行機でも座席数が120席以上あるボーイング737で、大半がボーイング767や787などの中型機であるのに対し、JALは経営破綻前後から羽田発着地方路線で、機材のダウンサイジングを進めた結果、ボーイング737を主力機に、路線によってはエンブラエル機を投入するなど小型機中心の機材構成を進めたからだ。

そもそも100席以下のリージョナルジェットとは、どんな役割があるのか。リージョナルジェットとは、各地域間を需要に合わせて小型ジェット機で運航する飛行機であり、離島や過疎地域における生活路線として、また地方活性化においても重要な役割を果たす。

米国ではハブ空港からの乗り継ぎにも

リージョナルジェットの先進国であるアメリカでは、地域間の路線に加えて、国際線でハブ空港に到着した利用者の乗り継ぎ便としても積極的に活用されている。例えば、シアトル空港。東京・成田空港からシアトルに到着し、ポートランドやカナダのバンクーバーなどへ向かう場合、陸路でも車やバスで3~4時間程度で移動可能ではあるが、リージョナル機を運航している。

シアトル-ポートランド線やシアトル-バンクーバー線単体での利用者はほとんどいないが、実際に利用するとシアトルに国際線で到着した人を中心に満席近い便も多い。まさに80席前後がベストなのである。鉄道が発達しているニューヨーク-ワシントンDC線などについても同様である。

今後、2020年の東京オリンピック・パラリンピックへ向け、日本政府や観光庁では訪日外国人(インバウンド)年間2000万人を目標としている中、これまで以上に東京以外の地方都市を訪れる外国人が増えることは間違いない。

羽田・成田という日本のゲートシティから各地方都市へとスムーズに乗り継げるよう、リージョナル機による多頻度運航を中心とした国内線ネットワークを整備し、外国人に日本の技術を結集したMRJの快適性を味わってもらいたいところだ。2015年4~6月に予定している初飛行、そして2017年の商業フライトの開始が、これ以上遅れずにスケジュール通りにいくことを願うばかりである。

(撮影=尾形 文繁)

鳥海 高太朗 航空・旅行アナリスト 帝京大学非常勤講師

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とりうみ こうたろう / Kotaro Toriumi

1978年千葉県生まれ。成城大学経済学部経営学科卒。食品会社、コンサルタント、城西国際大学観光学部助手を経て現職。専門は航空会社のマーケティング戦略。利用者・専門家の双方の視点から各社メディアを通じて情報発信をしている。

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