高速道路の「大雪対策」がここ数年で変わった訳 「できるだけ止めない」→「事前に止める」へ

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NEXCO東日本では毎冬、サービスエリアやパーキングエリアといった休憩施設でスタッドレスタイヤの装着率を調査しており、今年も1月12日と16日に行われた今冬2回目の調査結果が、すでにインターネットで発表されている。

調査地点全体の小型車・普通車の装着率は、首都圏3カ所(東北道蓮田SA、関越道三芳PA、常磐道守谷SA)での調査の平均が48.4%。降雪地域の4地点(東北道那須高原SA、関越道赤城高原SA、上信越道横川SA、長野道姨捨SA)では平均97%だったという。トラックなどの大型車は、前者が94.0%、後者が100%だ。

降雪地域を訪れる車はおおむね装着済であることがうかがえるが、そうはいっても、高速道路上をたった1台の車が立ち往生して、仮に2車線にまたがって止まってしまえば、後続する車はすべて止まらざるをえなくなる。

雪道走行にはスタッドレスタイヤは必須となる(写真:YsPhoto / PIXTA)

全体のわずか3%と割合は少ないとはいえ、スタッドレスタイヤ未装着車は事故や立ち往生を引き起こす可能性が高いし、都心に近いエリアでは半数近くの車が未装着である。この車が「降雪時には絶対に使われない」ということであればいいが、そうはならないし、そもそもスタッドレスも万能ではない。

私自身、東北に4年間暮らして毎冬スタッドレスのお世話になったことがきっかけになって以来、装着を心がけているが、路面状況や道路の斜度によってはスタッドレスでも車を完全にコントロールできなくなることが時折ある。

また当然ではあるが、予防的通行止めを含めた規制とドライバーの備えなどを万全にしても、この冬のような、「数十年に一度の降雪」に見舞われれば、対処できないこともある。

私たち利用者に求められること

クルマの性能の進化やAIに制御された自動運転の時代を迎えても決して万全にはならないし、また地球の気象は明らかに激烈になっているように見える。

雪だけでなく、台風や集中豪雨、そしていつ来るかわからない地震も視野に入れて、道路の管理者側も運転する私たちも、一層その対処法を求められる時代になったことを痛感する。

2月10日には、再び関東地方の平野部での大雪の予報が出ており、2月8日の日中に首都高速道路株式会社は「予防的通行止めを行う可能性がある」と発表した。

また、NEXCO東日本や中日本でも「通行止めの可能性がある」とし、不要不急の外出を控えるよう呼び掛けている。首都高やNEXCOの発表を私たち利用者は真摯に受け止め、行動を考えたい。

佐滝 剛弘 城西国際大学教授

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さたき よしひろ / Yoshihiro Sataki

1960年愛知県生まれ。東京大学教養学部教養学科(人文地理)卒業。NHK勤務を経て、高崎経済大学特任教授、京都光華女子大学教授を歴任し、現職。『旅する前の「世界遺産」』(文春新書)、『郵便局を訪ねて1万局』(光文社新書)、『日本のシルクロード――富岡製糸場と絹産業遺産群』(中公新書ラクレ)など。2019年7月に『観光公害』(祥伝社新書)を上梓。

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