高速道路の「大雪対策」がここ数年で変わった訳 「できるだけ止めない」→「事前に止める」へ

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その翌月となる2021年1月も、今度は北陸道の石川・福井県境付近や東海北陸道の南砺市付近で大規模な立ち往生が発生したことは、記憶に新しい。

積雪時の立ち往生は寒さだけでなく、車のマフラー(排気管)が雪に埋まれば一酸化炭素中毒となる恐れもあり、命の危機に直結する。

マフラーが埋まると車内に排ガスが侵入する恐れがある(写真:bortnikau / PIXTA)

さらに近年はBEV(電気自動車)ユーザーも徐々に増えており、「ガス欠」ならぬ「電欠(電池切れ)」のリスクもあって、積雪時の高速道路での立ち往生は、「社会問題」にまで至っていたといえよう。

予定より早い「通行止め解除」を実現

関越道の長時間滞留の反省を受けて、NEXCO東日本では早速、同月31日、つまり大晦日に予防的通行止めを行った。降雪の予報を受けて、21時10分に「関越道六日町IC~長岡IC間を21時30分から翌1月1日午前3時まで予防的に通行止めとする」と発表。

集中的に除雪を行って、予定より1時間早い午前2時に通行止めを解除した。車の立ち往生を未然に防ぐことができたのである。また、首都高速道路でも、2021年2月5日に「今後は大雪の際には早めの予防的・計画的通行止めを実施する」と発表した。

さらに、こうした一連の事態を受けて、今冬からNEXCO3社では、事前予告による通行止めを徹底し、通行止めの3時間前に実施区間を予告する取り組みを始め、実際に何度もこうした通行止めを行っている。

2022年1月7日に通行止めになった首都高湾岸線(写真:skyyokohma / PIXTA)

例えば、2022年1月11日の夕方、NEXCO東日本北海道支社は、「道東道夕張IC~十勝清水IC間は今後大雪が想定されるため、本日19時から通行止めを予定しています」という内容を発表し、翌日の午後までこの通行止めは続けられた。

こうした事前予告の通行止めは、車の滞留を防止するだけでなく、本線を集中的に除雪したり、さらには利用者に車による外出を控えさせたりする効果も期待されている。

とはいえ、こうした取り組みですべてが解決するわけではない。2022年1月6日には東京で予想以上の積雪となり、首都高で動けなくなる車による滞留が発生したほか、かなりの路線で通行止めとなった。カーブや勾配が多い線形や、凍結しやすい高架構造の箇所が多い首都高の弱点をさらした形である。

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