タピオカミルクティーの仕掛けが何とも奥深い訳 オードリー・タンが考える台湾式「集合知」の活用

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唐鳳(オードリー・タン):書籍制作のために行っているインタビューも、集合知の表れの1つです。私は著作権を放棄していますから、インタビューが終わるとその内容はインターネットでシェアされ、それを引用に使おうが、二次創作しようが、何かと組み合わせて使おうが、私に許可を求める必要はありません。

誰かがYouTubeで私の動画を見て、そこから数分間、あるいは数秒間をピックアップして自分のアイデアを表現したら、それがまた将来のリソースに変わります。今、私たちが知識の扉を開け放ったことで、今後たくさんの人がパズルをはめ込むように知識を組み合わせたり入れ替えたりできるようになります。これが集合知です。

集合知の持つ大きな可能性

集合知は「集思(ジースー/衆知を収集する)」と「広益(グワンイー/有益な意見を幅広く吸収する)」という2つの部分に分けられます。

集思とは、1つのことがらに対する感じ方や気づきは人によって違うため、もしそれらを結びつけず、各自の意見をバラバラなままにして、コミュニケーションも取らず対話もしなかったとしたら、公共の利益は実現できないことを指しています。

広益とは、あることがらにもともと何の関心もなかった人、あるいはそれを知らなかった人に、それに対する興味を持たせることができたら、その人はあっという間に文脈をつかみ、理解するので、それ以降あなたはもう自分1人ですべての検証作業を行わなくてよいということです。

世界中のすべての構造的問題が今どうなっているのかを1人で把握することはできませんから、その知識にアクセスできないでいる人が、できるだけ負担のない形で参加できるように状況を整える必要があります。私が昔、インターネットでコミュニティに参加して、無料で多くの知識を得ることができたように。

私にとって思想とは、誰か1人だけで創造されるものではなく集合知の結晶であり、みんなのアイデアを凝縮したものを指しています。現代のホモ・サピエンスはお互いが高度につながった集合体ですから、私は孤独を感じたりしません。また、私の関心事が人から見向きもされなくても、インターネットにアクセスするだけで豊富なデータを収集できます。それらはみんながシェアしている集合知から生まれているのです。

では、インターネットを使って知識を学び、理解を深めるにはどうすればよいでしょう。学びのきっかけは未知への好奇心と探求心です。そこから「集思広益(ジースーグワンイー/多くの人の意見や知恵を広範囲に集める)」がゆっくりと始まります。

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