「公園遊び」が得意だった人は課題解決がうまい 齋藤太郎×尾原和啓のクリエイティブ対談1

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齋藤:課題解決って、子どものころの遊びに近いと思うんです。みんなで公園に集まって、ボールがあったらサッカーとかドッジボールとかやるけど、ボールがなかったらないで、鬼ごっこしようとか、高オニしようとか、かくれんぼしようとか、アイデアを出して決めていく。そういう意味で課題解決というのは、公園という場所があるけれど、いまはボールも何もありません、というとき、いかに面白い遊びを考えつくかに似ている。ビジネスの場合はさらに、かくれんぼでも高オニでもなく、みんながまだ知らない、いままでやったことのないゲームをやらなきゃならない。そういうときに、たとえば「男子はこういうハンディね」とか「誕生日順に分けてこうしよう」とか、いろいろ考えつくと楽しく遊べるでしょう。

尾原:そうですね。とくに時代が変化してくると、他人がつくったゲームのなかで勝とうとするより、新しいゲームのルールをつくれるところが勝つ。さらに言うと、商品の機能価値だけではすぐにパクられてしまうから、品質だけでは差がつかなくなる。いまある機能のなかで、みんなが遊びたいと思うゲームルールをつくれる人が選ばれるし、ネットになるとユーザーが参加してくるから、ユーザーと一緒に価値をつくっていくことが大事になってくる。まさに公園で遊びをつくるように、ビジネスのなかで新しいゲームルールをつくることが大事になってきますね。

ビジネスにもクリエイティブは必要

尾原:電通のクリエイティブの試験というのは、いわゆる広告表現のクリエイティブの力を審査していたんですか。それともいま太郎さんが取り組んでいるような、ビジネスのクリエイティブの力を試していたんですか?

齋藤太郎(さいとう たろう)/コミュニケーション・デザイナー/クリエイティブディレクター。慶應義塾大学SFC卒。電通入社後、10年の勤務を経て、2005年に「文化と価値の創造」を生業とする会社dofを設立。企業スローガンは「なんとかする会社。」。ナショナルクライアントからスタートアップ企業まで、経営戦略、事業戦略、製品・サービス開発、マーケティング戦略立案、メディアプランニング、クリエイティブの最終アウトプットに至るまで、川上から川下まで「課題解決」を主眼とした提案を得意とする。サントリー「角ハイボール」のブランディングには立ち上げから携わり現在15年目を迎える(撮影:梅谷秀司)

齋藤:当時は、表現のほうの適性しか問うていませんでしたね。だから学生時代からクリエイティブ塾などに通って、ちょっと突拍子もないことを思いつくような人が有利だったと思います。よりたくさんの広告の名作を見ていて、「こういうふうにやると、とんちが利くよね」みたいなことを思いつける人が強いゲームだった。でも時代の趨勢で、表現だけで解決できることが少なくなってきたんです。

尾原:そうですよね。僕の目から見ても、いい広告とかキャッチコピーって、表現として優れていると同時に、ビジネスの課題解決もしている。佐藤雅彦さんのNECの「バザールでござーる」は人の心に残るし、それから時代は古くなりますけど、糸井重里さんの「ほしいものが、ほしいわ。」という西武百貨店のコピーなどは、ビジネスのクリエイティブに近いと思います。

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