コロナ禍によって個人のキャリアを1つの企業や職種の枠にとどめずに考える動きが加速しているが、この流れには、逆に個人にとって厳しい側面もある。自分自身がキャリアを主体的に選び取っていかねばならないとはいわれるが、実際によくあるのは「誰にどう相談していいかがわからない」という声だ。
会社の上司や人事にはどうしても立場がある以上、フラットなキャリア相談はしにくいのは当然だろう。客観的な視点でキャリアに関するアドバイスをしてもらえるパートナーが、社外にいると安心であり、転職エージェントに相談をすることもいいきっかけになるだろう。彼らは人材を求める企業のことも熟知しているため、実際の求人紹介や面接対策などの転職支援もしてくれる。
その一方、転職活動時の瞬間的な、点のお付き合いになりがちなことには注意したい。なぜなら、一般的に転職エージェントは人材を企業に紹介し、入社させることで成果報酬をもらうビジネスモデル。すべてのエージェントがそうではないが、求職者個人のキャリアよりも「いかに転職しやすい企業を紹介し、入社させるか」を優先しているエージェントもゼロではない。
キャリアのセカンドオピニオンの必要性
目の前の転職しやすさを優先したキャリアチェンジを繰り返していると、キャリアがぶつ切りになりやすく、スキルや経験を積み上げていくことができない。そうならないためにも、連続性のある中長期のキャリアプランを一緒に考えてくれるパートナーが必要だ。
アフターコロナの転職は、緊急外来に飛び込み応急処置してもらうような転職サービスではなく、普段から相談できる“かかりつけ医”のような、長い付き合いができる存在がより重要になってくる。第三者にキャリア相談をする、言うなれば、キャリアのセカンドオピニオンの機会の重要性が高まっているとみるとよいだろう。
そうなれば、企業側は、個人がそうした考えを持つ前提で、小手先の複業の是非ではなく、中長期視点で優秀な人が集まる組織構造の組み立てが大事になる。
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