副業に興味ある人に知っておいてほしい最新事情 激変するキャリア、転職の明暗を分けることも

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一方で、『The 3rd Door』の調査では、複業できない理由の約50%は、会社側に制度がないというものだった。

まだまださまざまな制約で、「複業禁止」の企業が多いのは実態だが、興味深いのは、複業を禁止するほど、社員のエンゲージメントが上がり、転職が減るかというと必ずしもそうではないことだ。

実際に、「今の会社にできる限りいたい」人の中にも、「今後複業をしたい人」が一定数いる。

複業を「本業のスパイス」として考えている人がいることを示しており、そういった人にとっては、むしろ複業があることで「転職をせずに不満を解消しよう」という考えにつながるかもしれない。

各社の経営・人事からは、筆者に対して複業解禁すべきかどうかという相談も非常に多いが、思考停止で、「複業万歳」でも、「複業禁止」でもなく、経営側は、そもそも社員が持続的に働きたいと思えるような、組織のあり方を設計するときに来ているとみるべきだろう。

異業種×異職種の転職に果敢にチャレンジしやすい環境に

こうした複業=ある意味のお試しがしやすくなったこと自体は、個人のキャリアにとってポジティブな変化だ。複業は本業あっての挑戦なので、うまくいかないときや、自分に合っていないと感じたときも、転換がしやすいため、踏み出しやすい。

転職を前提に複業から始めるという活用方法もある。仕事が自分にできそうか、職場環境や仲間の雰囲気が自分に合うかを複業しながら確かめて、自信をつけてから本格的に転職をした人もいる。コロナ禍によって個人が新たな仕事に挑戦するときの始め方は、より柔軟になった。

その結果増えたのは、一見するとまったくの畑違いのような「異業種×異職種」の転職だ。株式会社リクルートが運営する転職支援サービス『リクルートエージェント』の転職決定者分析によると、「異業種×異職種」の転職が、2009年から2020年の間に12ポイント上昇しており、ほかの転職パターンを上回るそうだ。

これは、コロナ禍で業種・職種転換を余儀なくされた人もいるだろうし、業種・職種によらないスキルマッチングのニーズが一層高まっている現れともいえる。

個人からすれば、今在籍している場所では当たり前のスキルや考え方が、場所を変えればのどから手が出るほど重宝される場合もある。コロナ禍が企業の変化を促したことは、社会全体で人材を流動化・活性化する契機とも言え、個人にとっては、キャリア選択のあり方の重要性が増しているともいえるだろう。

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