痩せ型・飲まない人も「脂肪肝」油断できない理由 全身の臓器に影響を及ぼす可能性もある

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――「脂肪肝」は、ほかの病気も引き起こしやすいということでしょうか?

はい、その通りです。

そもそも「脂肪肝」は飲酒や食べ過ぎ・運動不足といった生活習慣の乱れで起こるため、同時に「生活習慣病」と呼ばれる病気を併発していることが多くあります。

「脂肪肝」があると、狭心症や心筋梗塞といった心疾患を合併しやすいと言われます。また、高血糖や高インスリン血症などにもなりやすいですし、ほかの生活習慣病を併発している場合は、さらに心疾患合併の確率が高くなります。ここが怖いポイントですね。

極端なダイエットはちょっと待った!

――症状が出にくい「脂肪肝」は、どうすれば分かりますか?

まずは、健康診断などで受ける血液検査をチェックしてください。

肝臓に関係するのは、AST/ALT/γ-GTPという数値で、これらが基準値を外れると要再検査となります。

また、健康診断では超音波検査(エコー検査)を受けると安心です。「脂肪肝」の有無や進行度が分かり、また肝炎や胆石といったほかの病気を見つけることもできます。

――「脂肪肝」を防ぐために俄然、ダイエットのやる気が出てきました!

う〜ん、ダイエット方法もさまざまあると思いますが、私としては何事も“ほどほど”をオススメしています。

例えば、食事制限では糖質制限がブームになっていますが、そういった場合には、糖質を摂らない代わりに脂質を摂り過ぎていることが多いため、結果としてエネルギー過多になっていることもあります。

過度な制限ではなく、無理せず長く続けられる方法が良いですね。

――なるほど、バランスの良い食事が重要ですね。同時に筋トレにも励みたいと思います。

運動も、肝臓のためには“ほどほど”がベストです。

筋肉は、トレーニングを止めてしまうと、今までの代謝バランスが崩れて脂肪がつきやすくなることがあるので、無理なく続けていけるボリューム・強度で行うのが理想です。

また最近の風潮として、筋トレと併せて大量のプロテインなどを摂る人も多いでしょう。肝臓は栄養を貯蔵したり、さまざまな物質を代謝する働きがあるので、栄養素や化学物質の摂りすぎは肝臓に負担をかける恐れがあります。

これは、栄養ドリンクやサプリメントを過剰に摂取することも同じです。サプリメントの摂り過ぎのせいで、肝障害が出ている患者さんもいます。

何事も“ほどほど”が肝臓を健康に保つ秘訣と覚えてくださいね。

「脂肪肝」を防ぐコツは、生活&運動習慣に正しくこだわり、年に1回は検査を受けること──吉良先生のこの教えを“肝”に銘じたい。

(取材・文:長瀬瑠美奈)

「OCEANS」編集部

メンズファッション&ライフスタイルの情報誌『OCEANS』は、 “37.5歳”をキーワードにした独自の切り口が支持を集め、2006年の創刊以来、多くの読者にご愛読いただいています。2017年1月にはデジタルメディアを大幅リニューアル。ファッションはもちろん、毎日の“オッサンライフ”をもっと楽しくするハウツー情報の配信だけでなく、「対話するWEBマガジン」をテーマに、スナップ、動画、イベントなども展開していきます。

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