希望は「専業主夫/婦」、社会より家が好き

夫も妻も働きたくない時代のイス取りゲーム

これからの時代、専業主夫になりたい夫もあたりまえ?

現代カップルが取り合う、「専業主夫/婦」のイス

元モーニング娘。の藤本美貴は、お笑い芸人の夫・庄司智春が「ミキティが稼ぐから、専業主夫になりたい」と発言していることを知らされると、あきれながら「いやいや、働こうよ。逆に私が専業主婦になりたい」と応じたという。

つい先月のちょっとしたニュースだけれど、ぼくとしては大いに感じるところがあった。この夫婦については共に芸能人という特殊事情はあるかもしれないけれど、「専業主夫/婦」のイスの取り合いという構図は現代のカップル全体にかなり強まっているという印象があるからだ。

現代の婚活論における一つの焦点は、専業主婦志向への回帰をどう説明するかってことだ。よく知られているように、それまで快調に廃れてきた「女は 内、男は外」的家族観がゼロ年代に入ってから突然“里帰り”してきた。送り出したほうは、これから女性の社会進出が進んで、いずれ男女共働きの社会が実現 するんだって思っていたのだ。この突然の“帰宅”がいかに衝撃的だったかを、想像してあげてほしい。

小倉千加子の名著『結婚の条件』(2003年)は、こうした潮流を鋭くかぎ取って「あらゆるつまらない労働、人間がしなければならない「当たり前」 の労働から、若い女性たちが総撤退を始めている」と観察し、「大衆は、フェミニストの「啓蒙?するところには行かなかった」と書いていた。10年経って、 こうした傾向はますます広がってきているように見える。

最近、エッセイスト・中村うさぎと小説家・三浦しをんとのフシギな対談を読んでいたら、そこにもこんなやり取りがあった。

うさぎ:専業主婦は、フェミニズム的に言うと「女を家の中に押し込めて、社会に出さずとは何ごとか」ってなるけど、違うんだよ。だって、そもそもこのシステムは絶対に女が作ったと思うから。

しをん:「家でゴロゴロしたいから、おまえは肉を獲って来い!」という感じですよね。

(『女子漂流』、2013年)

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