卵泥棒と蔑まれた恐竜は決死で子を守る親だった オビラプトルの化石からわかった「親の愛」の真実

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巣の中で発見されたオビラプトルは、卵を抱いたまま化石になったと考えられる。

その後の研究で、オビラプトルのくちばしは、卵を割るためのものではなく、エサとなる貝を嚙み砕くためのものだったことが判明する。

卵泥棒は、まったくの冤罪(えんざい)だったのである。 絶滅してしまった恐竜の生態を知るには、化石を調べるしかない。

しかし、死んでしまった恐竜のすべてが化石になるわけではない。恐竜が化石として残るためには、特殊な条件が必要だ。

オピラプトルは卵を抱いたまま化石になった

死んだ恐竜の体は、空気に触れていると腐ってボロボロになってしまう。そのため、海や池の底に沈んだ恐竜の体に土砂が堆積(たいせき)し、地層の中に埋め込まれなければならない。海に暮らす生き物であれば、死骸(しがい)は海底に沈むが、陸上に棲(す)む生き物では、そうはならない。死骸が川を下り、海に流され、そして海底に沈まなければならないのだ。

しかも、その死骸の上に土砂が積み重ならなければならない。ぐずぐずしていれば、死骸は他の生き物のエサとなり、食い荒らされてしまう。そうなれば、化石にならない。化石として後世に残ることができるのは、本当にわずかな死体なのだ。

古代の生物の全身が化石として残ることは本当に珍しいし、わずかに残された化石を手がかりにして恐竜の生態を知ることは簡単ではないのだ。
オビラプトルは、卵を抱いたまま、卵と一緒に化石になった。

恐竜の死体は、短期間で地層の中に閉じ込められなければ、化石になれない。

巣の中で死んだオビラプトルは、どのようにして化石になることができたのだろう。 陸上に棲む生き物が、一気に土砂の中に埋められる条件がある。

たとえば、火山の噴火だ。

火山が噴煙(ふんえん)を巻き上げれば、大地は火山灰で埋め尽くされる。

次ページ迫りくる火山灰か土砂の中で卵のそばを離れなかった
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