女王シロアリの最期はあまりにあっけなくむごい 君臨しても「卵を産めなくなったらサヨウナラ」

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卵を産めなくなった女王シロアリが迎える最期とは?(写真:cgdeaw/PIXTA)
生き物たちはみな、最期のその時まで命を燃やして生きている──。
数カ月も絶食して卵を守り続け孵化(ふか)を見届け死んでゆくタコの母、成虫としては数時間しか生きられないカゲロウなど生き物たちの奮闘と哀切を描いた『文庫 生き物の死にざま』が刊行された。同書からシロアリの章を抜粋してお届けする。
前回:チョウチンアンコウの男は女に全てを捧げて逝く(2021年12月22日配信)

シロアリの女王の仕事は卵を産むことのみ

シロアリという名前であるが、実際にはアリの仲間ではない。アリは昆虫の中では進化したタイプであるのに対して、シロアリは、3億年前の古生代から今と変わらない姿をした「生きた化石」と呼ばれるほどの古いタイプの昆虫である。シロアリはゴキブリ目に分類されていて、アリよりもゴキブリに近い昆虫なのである。

シロアリは、1匹の王である雄アリと女王アリのつがいと、オスとメスからなる働きアリや兵隊アリでコロニーを作る。そのコロニーは、種類にもよるが数十万匹から100万匹を超えるような巨大な集団となる。

女王アリの仕事は卵を産むことである。女王アリ以外のメスのアリは卵を産むことができない。女王アリは、日々たくさんの卵を産んでいく。その卵からかえった働きアリたちは、かいがいしく働き、王国のために尽くすのだ。

もちろん、女王アリが、自ら餌を集めたり、部屋の掃除をする必要はない。働きアリたちが餌を食べさせてくれるし、部屋の掃除や排泄(はいせつ)物の世話さえしてくれる。女王が産んだ卵からかえった幼虫の世話も働きアリの仕事だ。女王アリは何もする必要はない。ただ、卵さえ産んでいればいいのだ。

働きアリが、数年の寿命であるのに対して、女王アリは10年以上も生きることが知られている。長いものでは数十年生きる女王アリも発見されているというからすごい。昆虫の寿命は長くても1年以内のものが多いから、シロアリの女王アリは、もっとも長寿な昆虫と言われているほどだ。

もっとも、女王アリは、多くの卵を産むために腹部を発達させているので、体が重く、活発には動けない。しかし、それでもまったく問題はない。身のまわりのことはすべて働きアリがしてくれるのだから。まさに女王にふさわしい高貴で優雅な生活だ。

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