海に捨てないロケットが人類の未来に不可欠な訳 「使い捨て」という宇宙利用・開発の常識への挑戦

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ファルコン9による人工衛星打ち上げ(アメリカ時間2021年12月2日)(写真:スペースX)
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人工衛星を使った災害予測から、宇宙旅行、月や火星への移住に至るまで、さまざまな夢が語られる宇宙利用・開発。その基本的なところで、使い捨てロケットから再利用型ロケットへという変化が生まれている。電気自動車大手テスラのCEO、イーロン・マスク氏、アマゾンの創業者ジェフ・ベソス氏らがそれぞれ率いる新興企業の参入がもたらした激流だが、日本のベンチャー企業も意気軒高だ。

ロケット再利用を推進する日本発ベンチャー

2017年12月に創設されたベンチャー企業、スペースウォーカーは、月や火星と地球の行き来、宇宙空間を経由した地球上の二地点間の高速輸送など有人宇宙輸送を目標とする。その前段として2020~2030年代には無人の有翼ロケットによる小型衛星の打ち上げサービスの事業化を視野に置いている。

取締役CTOを務める米本浩一・東京理科大学教授が中心になって開発中の小型有翼ロケットは再利用型。後述する円筒型ロケットとは別の方法で再利用を目指す。翼をもち、グライダー飛行で帰ってくるタイプだ。

代表取締役CEOの眞鍋顕秀さん(41歳)は、再利用の意義を語る。「これまで世界中のロケットのほとんどが使い捨てで、(2段目を宇宙に押し上げた後)1段目は海に捨てていた。お金もかかりますが、そもそも海にものを捨てて成立する産業には限界がある。毒性の強い燃料を使っている場合もあり、今後ロケットの打ち上げが激増すると、内部に残った燃料ごとロケットを捨てることによる海の汚染も心配です」

「われわれは今、宇宙の大航海時代の入口にいる」と、眞鍋さんは考える。大航海時代とは、15~17世紀、ポルトガル、スペイン、そしてフランス、イギリス、オランダの欧州人が航海に乗り出し、アフリカ、アメリカ大陸、インドへと進出していった歴史を指す。では、「宇宙の大航海時代」とは何だろう。「地球と宇宙が簡単に行き来できるようになった先には、宇宙の未開の地の開拓が進んでいく時代」が来るという。

「その時代の入口にいる今、このタイミングで大事なことがある」「われわれが今、脱炭素という課題を突きつけられているのと同様の問題を宇宙に持ち込むことは避けたい」と眞鍋さんは訴える。

次ページ持続可能なモビリティ革命を宇宙大航海時代の入り口で考える
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