失敗知らず!「ドクターX」好調のナゼ 「西部劇」仕立ても効いている?

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主演の米倉涼子さんも、大門未知子という役柄もすごくかっこいいし、ドラマの内容そのものは最先端の医療技術を披露するなど、とても現代的。ところが、音楽、ナレーション、CGグラフィックは、あえて“昔風”にしてあることに気づきます。

筆者がかつて勤務していたNHKでもシニアを視聴者に取り込みたいときは、番組全体の見せ方をスタイリッシュにしすぎないように気を遣っていました。アメリカのドラマやミュージックビデオみたいに“クール”にしてしまうと、“これは若者向けの番組だ”と見てもらえなくなってしまうからです。

「ドクターX」も同じように、シニアの視聴者を意識しているのがうかがえます。

あまり凝っていないグラフィックに、田口トモロヲさんによるNHK「プロジェクトX」風のナレーション、そして、音楽は西部劇風。テレビ朝日のヒットドラマは、「相棒」にしろ、「ドクターX」にしろ、シニア層への訴求方法がうまいなと思います。

「ドクターX」は、今シーズンも高視聴率を記録して、まだまだ続編が作られていくと思います。これだけの成功要因が詰まっていて、失敗しようがありません。

視聴率が下がるとすれば、この西部劇フォーマットが飽きられてしまったとき。おそらく、そうなりそうになったら、話を盛り上げるために、あえて1回ぐらい失敗するのではないかと勝手に予測しています。

佐藤 智恵 作家・コンサルタント 

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さとう ちえ / Chie Sato

1970年兵庫県生まれ。1992年東京大学教養学部卒業後、NHK入局。ディレクターとして報道番組、音楽番組を制作。 2001年米コロンビア大学経営大学院修了(MBA)。ボストンコンサルティンググループ、外資系テレビ局などを経て、2012年、作家/コンサルタントとして独立。主な著書に『ハーバードでいちばん人気の国・日本』(PHP新書)、『スタンフォードでいちばん人気の授業』(幻冬舎)、『ハーバード日本史教室』(中公新書ラクレ)、『ハーバードはなぜ日本の「基本」を大事にするのか』(日経プレミアシリーズ)、最新刊は『コロナ後―ハーバード知日派10人が語る未来―』(新潮新書)。公式ウェブサイト

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