筆者は、『世界のエリートの「失敗力」』(PHPビジネス新書)という本を執筆したとき、世界の国別「失敗脅威指数」(「失敗することに対する恐れがあり起業を躊躇している」という成人人口の割合)を調べたことがあります。
2013年のグローバル・アントレプレナーシップ・モニターの調査によれば、日本の失敗脅威指数は47%で、先進国ではイタリア、ドイツについで、3番目に高い。つまり、日本は世界的に見ても、「とにかく失敗したくない」と願う人が多い国だということ。
その結果、支持されてきたのが、「失敗しないキャラクター」。視聴者のあこがれを詰め込んだキャラクターといえます。
テレビ番組では「ドクターX」の大門未知子、「リーガルハイ」の古美門研介(こみかど・けんすけ)、「ハケンの品格」の大前春子、漫画では「ゴルゴ13」のデューク東郷。皆、一匹狼で、権力とは無縁で、高額の報酬をもらい、すご腕で、「失敗しない」。
米国でも、「Dr.HOUSE/ドクター・ハウス」(FOX)のように、天才ドクターを主人公としたドラマはありますが、それでも、誤診によって患者が亡くなってしまった回も何回かありましたから、「失敗しない人」としては描いていません。米国人はそんなに失敗しない人にあこがれないからです。
あえてクールさを削っている?
「ドクターX」が高視聴率を獲得しているのは、組織で働く社会人から支持されているのに加え、シニア層もうまく取り込んでいるからだと思います。NHKの朝の連続テレビ小説のように、シニア層を取り込まないと、20%を超える視聴率は達成できません。
筆者が気づいたのは、ドラマのパッケージ感。全体の見せ方をシニアフレンドリーにしていること。
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