後先考えずに「ギブ」する人が結局うまくいく まだ何物でもない君たちに贈る成長のヒント

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齋藤:そのためには、入ってくる情報をいったん受け止めて、自分なりに咀嚼して、それでリアクトすることも大事ですよね。情報って、同じ24時間を過ごしていたら、みんなそれなりに同等に受け取れるでしょう。でもそれをスルーしちゃってる人と、キャッチしてリアクトする人がいる。たとえば新聞って、昔より面白くないですか。

伊藤:うん、面白くて仕方ない。

齋藤 太郎(さいとう たろう) /コミュニケーション・デザイナー/クリエイティブディレクター 慶應義塾大学SFC卒。電通入社後、10年の勤務を経て、2005年に「文化と価値の創造」を生業とする会社dofを設立。企業スローガンは「なんとかする会社。」。ナショナルクライアントからスタートアップ企業まで、経営戦略、事業戦略、製品・サービス開発、マーケティング戦略立案、メディアプランニング、クリエイティブの最終アウトプットに至るまで、川上から川下まで「課題解決」を主眼とした提案を得意とする。サントリー「角ハイボール」のブランディングには立ち上げから携わり現在15年目を迎える(撮影:梅谷秀司)

齋藤:昔は新聞読めって言われても、何が面白いのかわからなかったけど、今は新聞を開くとだいたい自分や知り合いに関係ある話が載ってる。僕は自分がハブというか、いろんな情報の交差点にいることが、どんな人間にとっても重要だと思うんですけど、たとえば新聞にZアカデミアについての記事が載っていたとする。そしたらそれを写メって伊藤さんに「出てましたね」って送るだけでも、「あ、太郎くんって、オレのこと気にかけてくれてるんだな」となるじゃないですか。北海道の根室の書店に『1分で話せ』が置いてあったら、若者がそれを写メって、「伊藤さん! この本、日本の最果ての根室にもありましたよ」って送れば、「根室に何しに行ったんだ」「いや、カニを釣りに行ったんだけど釣れなくて。このへんでいい店、知りませんか」「よし、まわりに聞いてやる」みたいになっていくでしょう。

伊藤:そうだね。僕も「すげえ」「やべえ」とか言っているだけだったんだけど、なんでも面白がってるとどんどん情報が入ってきて、なかには自分の仕事と関係があることも出てくる。それを人に投げるとキャッチボールが始まる。そういうつながりを、いっぱい持てるといいよね。昔は年上の人とコミュニケーションをとろうと思ったら一緒に酒を飲むしかなかったけど、いまはこういうコミュニケーションがSNSで簡単にできる。

齋藤:そう、みんな同じコミュニティでやりとりしがちだけど、若い人はできるだけ違う世代とそれをやったほうがいいと思います。

ギバーになる

伊藤:そういう関係を学んでもらうためにも、武蔵野大学の学部は1年だけ全寮制にしているんですよ。寮に住んでると、さすがにリアルに交流があるでしょ。僕も一緒に住んでるんだけど、夜11時ごろ帰ってくると多目的ホールでみんなワチャワチャやってるんだよね。「何やってるの」って聞くと「課題ッスよ」なんて。

齋藤:伊藤さんも寮に住んでるんだ。すごいね。じゃあ、パパは単身赴任なの?

伊藤:そう、週末になると帰る。そういうふうに人と教え合うことが学べると、人と人との関係はギブアンドテイクで、そのためにはまず、こちらからギブすればいいってわかっていく。

齋藤:本当にそうですよね。「この人は私に何をしてくれるかな」と思いながらギブするより、何も考えずに「これをあげれば喜ぶだろうな」というだけのほうが簡単だと思うんだよね。テイクはあとで考えることにして、ギブしまくる。おばあちゃんの荷物を持ってあげたって、せいぜい肉まん1個分のカロリーを消費するくらいでしょう。

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