後先考えずに「ギブ」する人が結局うまくいく まだ何物でもない君たちに贈る成長のヒント

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齋藤:それに電通に入ってすぐに、直属の上司にボコボコにやられて(笑)。おかげで、昔は生意気でとんがってたんだけど、人柄がずいぶんマイルドになりました(苦笑)。

伊藤:それは、教育的見地から言ってるわけじゃないよね。

齋藤:絵に描いたようなパワハラだった(笑)。でも当時はそういう言葉がなかったから。

伊藤 羊一(いとう よういち) /Zホールディングス Zアカデミア学長 東京大学経済学部卒。グロービス・オリジナル・MBAプログラム修了。1990年に日本興業銀行入行、企業金融、事業再生支援などに従事。2003年プラスに転じ、事業部門であるジョインテックスカンパニーにてロジスティクス再編、事業再編などを担当し、2011年より執行役員マーケティング本部長、2012年より同ヴァイスプレジデントとして事業全般を統括。かつてソフトバンクアカデミアに所属。孫正義氏へプレゼンし続け、国内CEOコース年間1位の成績を修めた経験を持つ。2015年4月にヤフー株式会社に転じ、次世代リーダー育成を行う。グロービス経営大学院客員教授として教壇に立つ。2021年4月武蔵野大学アントレプレナーシップ学部学部長に就任(撮影:梅谷秀司)

伊藤:そのときの苦労は、いま役に立ってる?

齋藤:社会の厳しさを教えてもらったところはありますね。僕はそれまで調子に乗ってたから。いろんな一流企業の内定をもらって、自分は選ばれし人間だって過信してた。

伊藤:じゃあ、そんなパワハラ上司ではあったけど、自分の人生のプラスにはなったんだね。

齋藤:めっちゃプラスです。もちろんいまの若い人も同じことをすべきだとはまったく思わないし、強制してはいけない働き方だと思う。とはいえ社会の不条理を体験させてもらったし、次の部署でつらいことがあっても、「あのときに比べればまだましだ」と思って頑張れた。

伊藤:なるほど。

齋藤:その上司のこと、苦手を通り越して大嫌いだったはずなのに、退職することになったら複雑な思いが込み上げてきて、僕、送別会で泣いちゃってね。「最後にお願いがあります。僕に一席もたせてください」って言って、後日本当に2人でメシ食いにいって、自分が勘定をもったとき、なんだかわからないけど、「勝った」と思いました(笑)。

不条理な経験をしにくい現代

伊藤:僕の場合はね、調子に乗るってことがなかった。なにからなにまで自信がなさすぎで。「なんでこんな会社(注:日本興業銀行)に入っちゃったんだろう」「間違えたー」ってずっとオドオドしてた。

齋藤:ムリしてたんだ。でも麻布・東大・興銀なんてエリートじゃないですか。

伊藤:保守本流じゃん、みたいなことはよく言われる。でもヒエラルキーの厳しい縦社会にはずっと馴染めなかった。最近は世の中全体がフラットになってきて、「上が言うことは絶対」でもなくなってきたから、ようやく馴染めるようになったけど。

齋藤:社会がフラットになったから馴染んだの? 僕も楽になってきたけど、それは自分がおっさんになって、上の世代になったからだと思ってた。

伊藤:フラットになってると思うよ。僕も若いころは、太郎さんのような不条理な体験をしたけど、それがよかったのかというと、そりゃ経験しないで済むならそのほうがいい。でも自分のプラスになってるのも事実だよね。

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