過食や運動不足だけではない?肥満「第3の要因」 ウイルス感染や内分泌かく乱物質で起こる事も
つまり肥満だった人が厳しい食事制限で減量しても、代謝まで落ちてしまうため、その後、一般的な体重の人と同じ量を食べても太るようになってしまうのです。
短期集中ダイエットはときに、身体の「デトックス」にも利用されます。消化システムを休ませ、老廃物をきちんと排出できるように、との考えからだそうですが、これは意味不明です。
身体はすでに消化器官という自浄システムを持っています。今のところ、消化器官を維持管理する最良の方法は、食物繊維と栄養素たっぷりのものを食べることと、水などをたっぷり飲むことです。
だから、「デトックス」をうたう意味のわからない高価なものを買うくらいなら、その分のお金を素敵なプレゼントとか、あなたの健やかさに貢献できることに使ってください。
ペットボトルの水で太る理由は「ある物質」
ペットボトルに入っている水さえも、肥満に一役買っています。なぜなら、そこには「内分泌かく乱物質」が滲み出ているからです。これが不妊や乳がん、そして肥満などを引き起こす健康に害のあるものとみなされているのです。
内分泌かく乱物質は、人体が産出するホルモンの機能を真似したり、妨害したりできる化学物質です。これが私たちのエネルギーと脂肪細胞の代謝に影響を与えていることが、研究で徐々に明らかになっています。
有名なのが、ビスフェノールA(BPA)とフタレート(プラスチックをより柔軟にする可塑剤)です。ごく少量でも私たちの内分泌系をかく乱させることが知られています。ヨーロッパ市場では、赤ちゃんを守るために、BPAが使用されている哺乳瓶は禁止されています。
そして内分泌かく乱物質は、私たちが気づかないうちに身体に侵入します。ペットボトル以外にも、缶詰、プラスチック製の皿、コップ、そういったものを電子レンジで熱したとき、容器から内容物に浸出するのです。
ほかにも、子どもが口に入れるプラスチック製の人形やおもちゃ、レシート、日焼け止め、シャンプーやボディソープ、保湿クリームやマニキュア、そして化粧水。あらゆる身近な製品に内分泌かく乱物質は潜んでいます。皮膚からも口からも侵入し、呼吸で身体に取り込まれることもあります。つまり、ただ息をしているだけで太るかもしれないのです。
とはいえ、こりゃ大変だと思い、部屋の換気、酸素マスク装着、家具やプラスチックとの接触禁止、プラスチックが滲み出したかもしれない食べものの禁止などを徹底しようとしているなら、それはやりすぎです。多くのデータは動物実験から得られたもので、それが人間にどう応用できるかを知るのはまだ先になるでしょう。
米国肥満学会と北米肥満学会の元学会長であるアメリカ人医師のリチャード・アトキンソンは、「現代の肥満の大流行はウイルスによるものだ」という、興味深い持論を展開しています。