過食や運動不足だけではない?肥満「第3の要因」 ウイルス感染や内分泌かく乱物質で起こる事も
10万人を超える女性たちが参加した大規模な調査もあります。その調査では、少し明るい部屋で寝た人は、暗くした寝室で寝た人に比べて体重が増加した傾向にありました。光によって体内時計が狂わされ、代謝が乱されたと考えられています。
体に良い食事を心がけるためにも、十分な睡眠をとることは重要なのです。
ダイエット後にリバウンドする理由
無理なダイエットの後にリバウンドしてしまうのは、珍しいことではありません。
食事内容と生活習慣の改善が伴わない無理な食事制限を行えば、肥満につながる可能性は高いです。厳しいカロリー制限を課す食事(例えば1日800キロカロリー)は、適切な指導のもとで生活習慣の改善を達成して初めて、効果的な体重減につながります。
しかし、長い目で見れば、きちんと生活習慣についてのカウンセリングを受けて食事制限をした人も、生活習慣改善のアドバイスに基づいて生活しただけの人も、結果は同じだといいます。そういった意味で、厳しい食事制限は短期的効果しかないのです。
さらに悪いことに、カロリー制限を課した後は、体重は減っても、その後の数カ月でまた元に戻ってしまいます。
オーストラリアのメルボルン大学の研究者グループが、この現象について、驚くべき実験結果を発表しました。実験では、50人の肥満者がかなり低カロリーの食事を10週間続けました。そして参加者の血中の食欲調節ホルモン値と食欲を、食事制限の開始前と10週間後、そして1年以上経ってから測りました。
予想通り、13キロ以上の減量によってレプチンとインスリンなどのホルモンは減少し、空腹ホルモンのグレリンは増加していました。
しかし、短期集中の食事制限後は食欲が増したと参加者から報告がありました。そして驚くべきことに、実験から1年後、これらのホルモンに起こった変化は元通りになっておらず、食欲が増し、満腹をあまり感じられないままだったのです。
この研究結果で初めて、無理なダイエットが空腹ホルモンと満腹ホルモンに長期的な影響を及ぼすことがわかりました。無理なダイエットは代謝を遅くし、食欲が増進されるだけでなく、食べるとすぐに体重が増えるようになってしまうのです。
アメリカのリアリティ番組「ザ・ビッゲスト・ルーザー」は、この影響がどれだけ強いかを見せてくれました。番組では参加者が厳しい食事制限ときつい運動、そしてコーチからの指導を組み合わせて痩せようとしました。30週で平均58キロの減量に成功しましたが、代償は大きかったのです。
番組が終わるまでに彼らの代謝は急激に落ち(1日に600キロカロリーほど)、運動をしても代謝は落ち続けました。そして6年後、参加者たちは平均して41キロ増量していましたが、代謝率は低いままでした。