中国共産党が「少子化」を極端に恐れる本当の理由 「一人っ子政策」の失態で支配の正当性が揺らぐ
中国国家統計局は17日、2021年の出生率が5年連続で大幅に低下したと発表した。世界最大の人口を持つ中国には今、人口が減少に転じるという重大局面が近づいている。人口動態上の危機に拍車がかかれば、経済はおろか、政治的安定までもが揺らぎかねない。
中国では出生率の低下に加え、過去40年にわたる経済発展で平均寿命が延びたことから高齢化が進展。高齢者に対する生産年齢人口の割合が下がり続けている。これにより労働力が不足すれば、経済成長の鈍化をまねき、高齢社会を支える税収が減る展開も考えられる。
こうした状況は、すでに経済的な逆風にさらされている中国当局にとって大きな政治問題となりつつある。国家統計局は17日、人口統計とは別に、2021年10~12月期の実質国内総生産(GDP)の伸びが4%に鈍化したと発表した。
出生数は大量餓死時代をも下回る
中国を統治する共産党は出生率の低下を受けて、悪名高き「一人っ子政策」を修正。2016年には2人目、2021年には3人目の出産を認めるようになった。中国共産党はさらに、若い家族に向けて出産奨励策を打ち出し、職場の規則改善や早期教育の実施も公約している。
しかし、どれだけ対策を講じようとも、次の現実を変えるには至っていない。中国では子どもを欲しがらない女性が増えているという現実だ。
国家統計局が17日に発表した数字によると、2021年の出生数は前年の1200万人から1060万人へと減少した。毛沢東の大躍進政策による大飢饉で大量の餓死者が出た1961年の出生数にも届かない水準だ。
中国には、大躍進政策以来の人口減が間近に迫っていることになる。17日の発表によれば、2021年の死亡数は1010万人と、出生数に近い数字となった。人口統計学者の中には、中国の人口はすでに減少し始めた可能性があるといった声もある。
カリフォルニア大学アーバイン校の社会学教授ワン・フェンは、「2021年は中国の長い歴史の中で、人口が増加した最後の年として記されるだろう」と述べ、2021年の出生率は最も悲観的な予測すら下回ったと付け加えた。