「アメリカに謝ろう」運動の始まり
「最大の過ちは、中国共産党に嘘をつくのを許し、私たちがそれに反対の立場を表明しなかったことです」
カメラを見て英語で話す若い女性。水色のマスクで顔の半分は覆われているが、2つに結った髪と意志の強そうな瞳の色から東洋人であろうと想像がつく。
「私は中国人です。だから、中国人と政府がやった悪いことのすべてに責任があります」
この映像がツイッターで出回り始めたのは3月20日頃。女性は海外に住む華僑とされる。話の内容から居住地はアメリカと思われる。
中国はその頃、初期の急激な感染拡大が一段落し、新型コロナウイルスを国内と国外で拡散させた責任をあいまいにするかのような宣伝を繰り返していた。ニュースでは、新たな感染確認者は、国内では抑えられたが、海外から流入が続いているなどといった状況が連日強調された。中国外務省の現役報道官である趙立堅氏は、ウイルスの発生源について「アメリカ軍が武漢に持ち込んだかもしれない」などと英語でツイートした。
冒頭の女性は、ツイートした1分50秒程の映像の中で「アメリカに謝ろう」運動(#saysrytoAmerica)を始めようと呼びかけていた。
「中国ウイルスをアメリカに持ち込んだことを謝りたい」
中国ウイルス(Chinese virus)とは、新型コロナウイルスのことで、アメリカのトランプ大統領が使って、中国を激怒させた言い方だ。
彼女は、中国外務省の報道官の“主張”にも、真っ向から反対している。
「ウィーチャット(=中国のSNS)でデマを拡散させたことについて謝りたい。アメリカ軍が武漢にウイルスを持ち込んだという話は誤りです」
ツイッターには、彼女の言葉を繰り返す中国人とみられる若者たちが続いた。
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