鳥居薬品に「物言う株主」が噛みついた真の理由 「プライム上場は問題」、驚きの株主提案が発覚
関係者の話を総合すると、リムは「歴代の経営者が本業とは無縁の資産運用によって時価総額を上回る規模まで資産をため込み、PBR(株価純資産倍率)が0.7倍と、1倍を割り込んでいる」ことを問題視。
「親子上場の解消はおろか、親会社のJTを優先した経営を行い、ほかのステイクホルダーをないがしろにしていることが原因で、少数株主の利益を侵害しており、最も厳しいガバナンス体制が求められるプライム市場を選択することに疑問を呈している」という。
天下りや資産管理の停止を要求
その上でリムは、JTの子会社となって以降、医薬品ビジネスの専門家でないJT出身者を代表取締役として受け入れ続けていることに関し、「親会社との間に事業の相乗効果がないのに天下りを甘受しているのは利益相反である」として、JTからの天下り禁止を求めている。
このほか、「抗HIV薬品の独占的販売契約を解消した際に得た違約金の多くが、グループ内で資金を包括的に管理するキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)によってJTに流出していることも少数株主の利益を侵害している」と主張し、CMSをやめるよう求めている。
また、リム側の試算によれば「有価証券をはじめとする運用資産が時価総額を大きく上回る870億円に達しているほか、自己資本比率も90%と過去最高レベルで過剰資本にあることで株価が停滞している」と指摘。その浮揚策として、自社株買いと配当金の支払いを組み合わせた90億円相当の株主還元を図るよう求めている。
これに対して鳥居薬品は、株主提案があったことは認めた上で、対応については「しかるべきタイミングで取締役会意見を公表する予定」とコメントしている。一方のリムは「個別の投資先に関してはお答えできない」とする。
親子上場をめぐっては、問題が多いとして東証の市場改革においても議論されてきた。
特に、リムが主張しているように、子会社の少数株主の利益を損なうケースが多いことに加え、親会社と子会社による資金の「二重取り」(親会社は子会社も含めた企業価値を基に市場から資金を集め、さらに子会社の上場で再び資金を得ている)ことも問題があるとされてきた。
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