動物界にもあった「格差社会」の知られざる実態 親の「資産」を受け継ぐ動物が研究で明らかに
北米にすむアメリカアカリスの一部は、幸せを約束されて生まれてくる。アメリカアカリスは松林をすみかとし、成獣はエサをたくわえて守る。多くの子リスは、自分の取り分となるエサのたくわえがない限り、冬を越すことができない。
しかし毎年、一部の母親リスは縄張りを放棄し、後に残る1匹または何匹かの子リスにエサをまるまる残していく。こうした子リスは、より高い確率で春まで生き残る。
松かさたっぷり受け継ぐ子リス
動物の世界で縄張り、道具、隠れ家などの資源を世代間で共有する種の例は、ほかにもある。先月、『Behavioral Ecology(行動生態学)』誌に掲載された論文で研究者たちはこの現象を指して、人間でいう「世襲資産」と同じものと呼ぶべきだと主張した。
執筆した科学者たちの言によると、松かさをたっぷりと受け継いだ子リスは、子世代の特権者である。ジョージ・オーウェルが、ある動物は他の動物より平等であると『動物農場』に書いたとき、オーウェルが光を当てようとしていたのは、当時の人間のイデオロギー対立だった。
が、研究者たちは、この類推を逆向きに適用したいと考えている。人間の物事の見方を適用することで、さまざまな動物の不平等の根源を理解することができると主張している。