「休園」でも双子パンダ「3日間だけ公開」の舞台裏 延べ2458人が観覧、3日間の平均倍率は348倍

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休園前のシャンシャンの観覧・撮影では、立ち止まることが禁止されていたので、15秒は貴重だ。しかも、計1分の観覧とは別にエリア間の移動も3回あり、その時間も確保されている。観覧者からは「合計で2分くらいパンダを見られた」との声が聞かれた。

ただ、出入り口の扉が開いていたので、外の景色と観覧者の姿がガラスにくっきり映りがちとなり、多くの観覧者が撮影に四苦八苦した。「4つのエリアのうち、最後のエリアだけ映り込みがなかった」との指摘もある。自分の姿がなるべくガラスに映らないよう、マスクも含め全身黒のファッションの観覧者も散見された。

観覧者は警備員の指示で15秒ごとに移動。出入り口は写真左手。2022年1月12日撮影(写真:公益財団法人東京動物園協会提供)

今回の公開の形は「園にとって非常に残念」

1月12日に双子パンダを先頭で観覧した女性は、午前5時から上野動物園の入り口前に並んだ。約4年間ほぼ毎日、上野動物園に行っているという。「シャンシャンを初めて見た時は、雷に打たれたような感じでした。シャオシャオとレイレイは、そのシャンシャンの弟と妹なので注目しています。シャンシャンの小さい頃にそっくり。すごく可愛かったです」と顔をほころばせた。

上野動物園に10年間通ってパンダを撮り続け、人気ブログ「毎日パンダ」を運営する高氏貴博さんは、抽選にはずれたものの知人が当選して観覧。1月12日は、お昼寝していたレイレイが顔を上げて、目をパッチリ開けた瞬間を鮮明な写真におさめた。「シャオシャオとレイレイには、『これから長い付き合いになるかもしれない、よろしくね』と心の中で伝えました」(高氏さん)。

上野動物園の大橋課長は1月12日に開いた会見で、

「新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、上野動物園は11日から休園となりましたが、今回3日間、当選者の方だけを特別にお招きしての観覧を催させていただきました。公開に備えて、シャオシャオとレイレイも練習を重ねてきました。こういった形での公開となったことは、園にとっては非常に残念だと思っています。感染が落ち着いたら再開して、多くの方に見ていただけることを期待したい」と話した。

上野動物園内のギフトショップでは、双子パンダの公開を記念した16種類のグッズが1月12日に発売された。シャンシャンの一般公開初日(2017年12月19日)に発売されて人気を博したぬいぐるみ「ほんとの大きさパンダの仔」の双子版も登場した(参照:『可愛くない「ピンクのパンダ」ヒットした裏側』)。双子を描いたお皿やお菓子なども発売され、いずれも1商品当たり10点まで購入可能だった。

双子パンダの公開記念グッズは、上野動物園を運営する東京動物園協会の通販サイトでも1月12日午前11時から発売された。ところがアクセスの集中で、ネットがつながりにくい状況になった。

次ページ突然の休園で上野の商業施設の対応も分かれた
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