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さらに本作で描かれるCIAや政府の上層部のやり方をみていると、なんともやりきれない気持ちにさせられる。キャリーやソールといったCIAの人間であっても、不本意かつ割り切れない思いを抱いていることは、しばしば彼らの言動から読み取ることができる。
こうしたアメリカ社会が抱える矛盾と苦悩を象徴しているのが、キャリーとブロディというキャラクターだと言えるだろう。
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9.11の悲劇と混迷する中東の現実を知るキャリーと、アルカイダの仕打ちとアメリカの過ちを目撃し、身をもって体験したブロディ。
彼らの魂が皮肉な出会いの中でも共鳴し合うことには、どんな意味があり、どんな結末が待ち受けているのだろうか……。
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キャリー役のクレア・デインズの熱演は圧倒的で、深い絶望と諜報員としての業の深さを体当たりで伝えて、時に痛々しい。
一方のブロディを演じるのは、イギリス人俳優のダミアン・ルイス。善人に思えるが、時折、静かな狂気が宿っている瞬間も垣間見えるルイスが体現するブロディの、どちらにも転びうる“あいまいさ”がなければ、本作の成功はありえなかっただろう。
アメリカの監視システムと諜報活動に驚愕
もうひとつ、本作のリアルを反映した同時代性の面白さには、CIAの対テロ戦略における諜報活動のディテールがある。
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シーズン1でいきなり驚かされるのが、キャリーがブロディを独自に監視する方法だ。家の中に仕掛けたカメラの監視から外出時の尾行まで、24時間張り付き、プライバシーなんてあったものじゃない。
だが、昨年6月には、アメリカ政府による情報収集活動にかかわったエドワード・スノーデン氏が国家安全保障局(NSA)による個人情報収集の手口などを告発した。アメリカの監視システムを含む諜報活動の実態は、基本的にはフィクションである同種の題材を扱った映画やドラマで描かれていることと大差ないものであることに驚愕してしまう。
こうした活動において、つねに大義とされるのがテロ対策である。しかし、テロを防ぐためなら何をやっても許されるのかといった疑問は、スノーデン氏の告発を待たずとも、すでにアメリカ社会において噴出している大きな問題のひとつだ。
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