大竹文雄:大阪大学特任教授
小林慶一郎:慶応大学教授
仲田泰祐:東京大学准教授
第6波となる新型コロナウイルスの感染拡大は2021年末から始まった。1月15日時点では、全国の新規感染者数は2万5742人であり、重症者数は233人である。急激に感染拡大が発生した沖縄、山口、広島の3県には、「まん延防止等重点措置」が2022年1月9日から発出されている。
その後、東京や大阪をはじめ全国的に感染者数が急速に増えている。1月15日の東京での新規感染者数は4561人、大阪府は3692人となっており、今後も感染拡大が当分は続くと予想されている。この第6波へのコロナ対策のあり方として、従来のコロナ対策を踏襲すべきか、それとも異なる対策を取るべきかについて、本稿では、3つの方向性を提案する。その際、第6波がオミクロン株を主体とした感染拡大であることを前提に議論すべきであることを強調する。
オミクロン株の特性
第1に、オミクロン株の伝播性はデルタ株よりも高い。この理由については2つ考えられる。まず、ワクチン2回接種の感染予防効果が低下したことである。これは、デルタ株よりも低くなっていることと、ワクチン接種からの時間が経過したことが原因である。次に、基本再生産数がデルタ株より高くなっている可能性があるが、この点は現時点では不確実である。
第2に、オミクロン株はこれまでの変異株と比べて重症化率・致死率が低い可能性が高い。これは、海外および日本データから推測できる。東京大学の仲田泰祐・岡本亘による「第6波における重症化率・致死率」(2022年1月10日)の基本シナリオでは、東京都・大阪府における第6波の重症化率は0.15%、0.20%とされている。これは、第5波の0.66%、1.1%という重症化率に比べて4分の1、5分の1である。
このように重症化率が低下する大きな要因は、オミクロン株本来の重症化率がデルタ株よりも低くなっていることと、第6波では新規感染者の中に占めるワクチン2回接種者の割合が第5波よりも高いと予想されるからである。