第6波への対応を決定的に誤らない為の政策提言 オミクロン流行を踏まえて採りうる3つの方向性

✎ 1〜 ✎ 213 ✎ 214 ✎ 215 ✎ 最新
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
従来のような厳しい行動制限が必要なのか。ワクチン接種が日本人の約8割に行き渡ったことやオミクロン株の特性も踏まえて判断していく必要がある(写真:Noriko Hayashi/Bloomberg)
オミクロン株の流行に伴って新型コロナウイルスの感染が急拡大し、第6波に見舞われている日本。これまでの経験を踏まえつつ、どのような政策が望まれるのか。
政府の分科会メンバーである大竹文雄・大阪大学感染症総合教育研究拠点特任教授、小林慶一郎・慶応義塾大学経済学部教授に加えて、仲田泰祐・東京大学大学院経済学研究科准教授の連名による政策提言「第6波におけるコロナ対策の指針」をお届けする。(文中一部敬称略)
(提言メンバーは以下の通り)
大竹文雄:大阪大学特任教授
小林慶一郎:慶応大学教授
仲田泰祐:東京大学准教授
※提言者は、本提言の内容に個人的に賛同するもので、所属する機関の見解を代表するものではありません

第6波となる新型コロナウイルスの感染拡大は2021年末から始まった。1月15日時点では、全国の新規感染者数は2万5742人であり、重症者数は233人である。急激に感染拡大が発生した沖縄、山口、広島の3県には、「まん延防止等重点措置」が2022年1月9日から発出されている。

その後、東京や大阪をはじめ全国的に感染者数が急速に増えている。1月15日の東京での新規感染者数は4561人、大阪府は3692人となっており、今後も感染拡大が当分は続くと予想されている。この第6波へのコロナ対策のあり方として、従来のコロナ対策を踏襲すべきか、それとも異なる対策を取るべきかについて、本稿では、3つの方向性を提案する。その際、第6波がオミクロン株を主体とした感染拡大であることを前提に議論すべきであることを強調する。

オミクロン株の特性

第1に、オミクロン株の伝播性はデルタ株よりも高い。この理由については2つ考えられる。まず、ワクチン2回接種の感染予防効果が低下したことである。これは、デルタ株よりも低くなっていることと、ワクチン接種からの時間が経過したことが原因である。次に、基本再生産数がデルタ株より高くなっている可能性があるが、この点は現時点では不確実である。

第2に、オミクロン株はこれまでの変異株と比べて重症化率・致死率が低い可能性が高い。これは、海外および日本データから推測できる。東京大学の仲田泰祐・岡本亘による「第6波における重症化率・致死率」(2022年1月10日)の基本シナリオでは、東京都・大阪府における第6波の重症化率は0.15%、0.20%とされている。これは、第5波の0.66%、1.1%という重症化率に比べて4分の1、5分の1である。

このように重症化率が低下する大きな要因は、オミクロン株本来の重症化率がデルタ株よりも低くなっていることと、第6波では新規感染者の中に占めるワクチン2回接種者の割合が第5波よりも高いと予想されるからである。

次ページ第6波は第5波より重症化率が大幅に低下する可能性が高い
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事